手のひら療法(読み)てのひらりょうほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「手のひら療法」の意味・わかりやすい解説

手のひら療法
てのひらりょうほう

手当て療法ともいう。手掌を患者の体表に直接または間接的に当て,病気を治す方法。大昔から世界各地で行なわれていたもので,シャーマン (まじない師) や宗教家には,この方法で病人を治療したものが少なくなく,現在でも新興宗教の中で取り入れているものがある。また,シェークスピアの戯曲にも出ているが,王のなかにも手を触れて病人を治す者がおり,これをロイヤル・タッチといった。日本では明治以降,西村大観の心王触手紫光療法,田中守平の太霊道霊子術,江口俊博の手のひら治療,西勝造の西式触手法,山田信一のプラナ療法,野口晴哉の愉気法など種々の名称で行なわれてきた。最近話題になっている中国の気功法の中の外気治療も,同様のものである。その効果の理由は未解明であるが,治療家の有するエネルギーが手掌より発すると考えるものと,何らかの霊的なものが治療家を介してエネルギーを発すると宗教的にとらえるものに分かれている。

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世界大百科事典(旧版)内の手のひら療法の言及

【信仰治療】より

…また〈それは多くの人をいやされたので,病苦に悩む者はみなイエスにさわろうとして,押し寄せてきた〉(《マルコによる福音書》3:10)と記されている。そして近代科学が発達した後も,民間では〈手のひら療法〉の名で,手当てによる治療法は残り伝えられていて,多くの新しい宗教はこの方法を実践してきた。とくにイギリスやフランスの国王が行った按手療法は〈ローヤル・タッチ〉の名で知られている。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」