手編機(読み)てあみき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「手編機」の意味・わかりやすい解説

手編機
てあみき

家庭用編機。糸、毛糸などを、手で編むように編み上げる機械。手編に近い味をもち、かつスピーディに編めるのが特徴。1589年に、イギリスの牧師ウィリアム・リーWilliam Lee(?―1610)が、足踏式靴下編機を発明したのが初めだという。その後改良され、1849年、ベラ針を発明したことから需要が高まった。

 日本では、1923年(大正12)萩原(はぎわら)まさ(1883―1974)によってガータ編器が発明されたのが最初である。28年(昭和3)には、メリヤス針を使った手編機が発明され、これが対立型編機の初めである。52年(昭和27)には、さらに操作を簡便にするために、並行型編機が生まれた。57年、現在の編機の原型ともいえる動針型編機が開発され、これにより対立型、並行型はほとんど生産されなくなった。その後は年ごとに各社で改良が重ねられ、それぞれに特徴をもった機種が出ている。70年(昭和45)に登場したパンチカード方式により、カードの穴を自動的に選針し、各種模様編みの操作が簡単になった。編み目の移動を自動的に行うレースキャリジ、編み地の裏に配色糸が渡らないアーガイルキャリジなども開発された。77年にはマイクロコンピュータを採用した読み取り装置付き編機も出現し、製作範囲がさらに広くなっている。

[河合貴代美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の手編機の言及

【編機】より

…編物を編む機械の総称。家庭用の手編機と工業用編機(メリヤス編機)の2種類がある。1589年にイギリスのW.リーによって発明された足踏み靴下編機が最初のものである。…

【編物】より

…1871年(明治4)西村勝三が,数台の編機を輸入して東京築地に工場をつくり,靴下を製造したのが日本におけるニット工業機械編の始まりである。これ以後,1924年萩原まさが手編機を,26年佐野寅之助,塚田右兵衛両名がシンカ針を,28年森音次郎がメリヤス針を発明した。32年市川止がメリヤス針を使った手編機を発明し,大日本編物研究会が発足した。…

※「手編機」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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