需要(読み)ジュヨウ(その他表記)demand

翻訳|demand

デジタル大辞泉 「需要」の意味・読み・例文・類語

じゅ‐よう〔‐エウ〕【需要】

もとめること。いりよう。「人々の需要に応じる」
家計企業などの経済主体市場において購入しようとする欲求購買力に裏づけられたものをいう。⇔供給
[類語]特需民需官需外需内需軍需需給ニーズ自給与える

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精選版 日本国語大辞典 「需要」の意味・読み・例文・類語

じゅ‐よう‥エウ【需要】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) 商品を買い入れようとしたり、供給や施設を望んだりする気持。また、ある物や事柄を必要とすること。需用。
    1. [初出の実例]「百般の需要一時に起て又旧時の粗野を甘ずる者なし」(出典:文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉四)
  3. 市場に現われる商品への、対価を支払うことを前提とする欲望、またはその総量。その量は所得、商品価格によって左右される。自由市場では、需要と供給によって商品の価格が形成される。⇔供給

需要の語誌

→「じゅよう(需用)」の語誌

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改訂新版 世界大百科事典 「需要」の意味・わかりやすい解説

需要 (じゅよう)
demand

家計や企業が自発的意思に基づき,直接消費を目的とし,あるいは生産要素を調達する目的で市場より購入する財やサービスの量のこと。需要量に最も大きな影響を与える要因は取引される財の価格であるため,縦軸に価格をとり横軸に需要量をとった図に描かれる需要曲線によって,買手の価格に対する反応を表現するのが普通である。個別経済主体の需要曲線は集計されて市場需要曲線となる。市場需要曲線は市場供給曲線とともに,一商品の均衡価格の決定および社会的最適生産量などの問題を考えるうえで中心的な役割を果たす概念である。一般に個別需要曲線を導出するためには,家計消費需要については家計行動の理論,企業の投入要素に対する派生需要については企業行動の理論が用いられるが,企業行動の説明は〈供給〉の項に譲り,ここでは家計行動理論の大要を説明する。

 消費主体としての家計は,経済的制約のもとに最も望ましい消費パターンを実現するよう合理的な行動をとると考えられる。経済的制約はpiを第i財の価格,xiを第i財の購入量,Yを所得,nを財の総数とすれば,という予算式に表すことができる。すなわち,家計はYだけの所得をもってn種類の財を買う計画を立てるのであるが,それぞれの財はこの予算式を満たす範囲内でなければ買うことができない。次に,消費パターンの望ましさについては,家計はn種類の財の消費の組合せの望ましさを計る効用関数ux1x2,……,xn)をもっていると仮定する。この効用関数は,(x1x2,……,xn)のほうが(x1′,x2′,……,xn′)より好ましいと思われるとき,そのときに限ってux1x2,……,xn)>ux1′,x2′,……,xn′)となるような性質,すなわち序数的な性質さえ備えていればよい。家計の合理的行動とは,予算式を満たす(x1x2,……,xn)の組合せのなかでux1x2,……,xn)の値を最大にするものを選ぶということである。

 予算制約下の効用最大化の条件から,pi/pjui/ujがすべてのijについて成り立たなければならない。ただしuiは効用関数のxiに関する偏微係数∂u/∂xiの値で第i財の限界効用を表し,ui/ujは第i財の消費を1単位増加させるとき,家計が同じ効用水準にとどまるために犠牲にしてもよいと思う第j財の量,すなわち第j財と第i財との限界代替率を表している。そうすると,家計の最適選択は価格比が限界代替率に等しいという上の関係式と予算制約式とからなる連立方程式の解として与えられる。したがって,この方程式体系中の定数p1p2,……,pnおよびYであるから,xiの最適購入量はxixip1p2,……,pnY)のように解かれることになる。これが合理的な家計行動の結果として説明される第i財に対する需要である。この関数形から明らかなように,第i財に対する需要は一般にすべての財の価格および所得水準によって影響を受ける。先の需要曲線はこのうちとくにpixiとの関係をとり出して図式化したものであった。したがって,第i財以外の財の価格pjあるいは所得の変化の影響は需要曲線のシフトとして現れることになる。また,需要xipipjおよびYに関する感応度は(pi/xi)(∂xi/∂pi),(pj/xi)(∂xi/∂pj)および(Y/xi)(∂xi/∂pj)によって表され,それぞれ需要の価格弾力性,交差弾力性,および所得弾力性と呼ばれている(〈弾力性〉の項参照)。さらに,所得弾力性が正値をとる財は正常財,負値をとる財は下級財と定義され,交差弾力性が正となる2財は互いに代替財(厳密には粗代替財),負となる2財は互いに補完財(厳密には粗補完財)と呼ばれる。

 なお,このほかに,財の全体的消費量が個別需要に正の効果を及ぼすバンドワゴン効果,負の効果を及ぼすスノッブ効果,さらに財価格が高いほど見せびらかす効果が強まり需要に正の影響を与えるというベブレン効果などが知られている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「需要」の意味・わかりやすい解説

需要
じゅよう
demand

個人や企業などの経済主体が、市場において交換・販売を目的として提供される財・サービスを購入しようとする行為。とくに貨幣などの購買力に裏づけされた需要を有効需要という。貨幣経済では、需要量は、提供される財・サービスの価格、購入しようとする経済主体の欲望の度合い、所得水準などに依存して決定されてくる。価格と需要量との関係から需要関数が得られ、一般には価格が上昇すると需要は減少する。

[鈴木博夫]

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普及版 字通 「需要」の読み・字形・画数・意味

【需要】じゆよう

需用。

字通「需」の項目を見る

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栄養・生化学辞典 「需要」の解説

需要

 自らの所得の一部を使って財を入手しようとすること.

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