抜き乱る(読み)ヌキミダル

デジタル大辞泉 「抜き乱る」の意味・読み・例文・類語

ぬき‐みだ・る【抜き乱る/貫き乱る】

[動ラ四]つらぬいている緒を抜き取って玉を散らす。
「―・る人こそあるらし白玉の間なくも散るか袖のせばきに」〈古今・雑上〉
[動ラ下二]つらぬいている緒が抜けて、玉が乱れ散る。
「―・れ散るか白玉白妙の衣手涼し布引の滝」〈壬二集

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「抜き乱る」の意味・読み・例文・類語

ぬき‐みだ・る【抜乱】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 つらぬき通している糸を抜き取って玉を乱し散らせる。
    1. [初出の実例]「ぬきみだる人こそあるらし白玉のまなくも散るか袖のせばきに〈在原業平〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑上・九二三)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 つらぬき通していた糸を抜き取ったために玉が乱れ散る。
    1. [初出の実例]「ぬきみだる涙もしばしとまるやと玉の緒ばかりあひみてしがな」(出典:貫之集(945頃)六)
  3. [ 3 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 [ 二 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「五月雨の雲は一つに閉ぢ果ててぬき乱れたる軒の玉水」(出典:式子内親王集(12C末‐13C初)夏)

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