デジタル大辞泉 「五月雨」の意味・読み・例文・類語
さ‐みだれ【五‐月‐雨】
1 陰暦5月ごろに降りつづく長雨。梅雨。つゆ。さつきあめ。《季 夏》「―を集めて早し最上川/芭蕉」
2 断続的にいつまでもだらだらと続くことのたとえ。「
[類語]
( 1 )「さ」は「さつき(五月)」の「さ」と同根。「万葉集」など上代の文献には確認できない。上代では季節にかかわりなく「三日以上(の)雨」〔十巻本和名抄・一〕をいう「なが(あ)め」に包含されていたと思われる。
( 2 )歌題としては「長元八年関白左大臣頼通歌合」が早く、その後「堀河百首」、そして「金葉集」以後の勅撰集で多く立てられ、夏季の代表的素材となった。
陰暦5月に降る長雨。梅雨と同じであるが、梅雨は主として五月雨の降る季節をさし、五月雨は雨そのものをさすことが多い。雨の降り方としては、前期はしとしと型、後期は集中豪雨型のまとまった降り方をする。「五月雨」の語は上代の用例にはみられず、平安時代に入ってからの語だが、『万葉集』巻19の大伴家持(おおとものやかもち)の「卯(う)の花をくたす長雨(ながめ)の始水(はなみづ)に寄る木屑(こつみ)なす寄らむ子もがも」は、五月雨の異称「卯の花くたし」の早い例であり、「いとどしく賤(しづ)の庵(いほり)のいぶせきに卯の花くたし五月雨ぞ降る」(『千載(せんざい)集』夏・藤原基俊(もととし))などと詠まれた。「五月雨にもの思ひをれば時鳥(ほととぎす)夜深(よぶか)く鳴きていづち行くらむ」(『古今集』夏・紀友則(きのとものり))、「さみだれはもの思ふことぞまさりけるながめの中にながめくれつつ」(『和泉(いずみ)式部集』)のように、「長雨(ながめ)」はもの思い(「眺(なが)め」)をかきたて、歌の贈答の折でもあり、「徒然(つれづれ)」の慰めとして「雨夜の品定め」(『源氏物語』帚木(ははきぎ))なども催された。夏の季語。「五月雨を集めて早し最上川(もがみがわ)」(芭蕉(ばしょう))。
[根本順吉・小町谷照彦]
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…(3)雨の降る季節による名称 (a)春雨 春にしとしとと降る霧雨。(b)五月雨(さみだれ) 陰暦5月に降る雨。(c)梅雨(ばいう) 6月上旬から7月上~中旬ごろにかけて降る雨。…
… つばな流し茅花(つばな)(チガヤの花)のわたのほぐれるころ,すなわち陰暦4~5月ごろに吹く南風をいう。 卯の花くたし卯の花をくさらす意味から転じて五月雨(さみだれ)のこと,あるいは陰暦4~5月ごろに降る長雨をいう。くたしは腐らすの意味。…
…〈つゆ〉ともいう。太陰太陽暦では梅雨の時期が5月にあたるので,五月雨(さみだれ)ともいった。梅雨は東アジアだけにみられる雨季で,6月上旬より7月上旬にかけて日本の南岸から中国の長江流域にかけて前線(梅雨前線)が停滞して長雨を降らせる現象である。…
※「五月雨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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