抱込(読み)だきこむ

精選版 日本国語大辞典 「抱込」の意味・読み・例文・類語

だき‐こ・む【抱込】

[1] 〘他マ五(四)〙
① うでの中にかかえいれる。かかえこむ。
※俳諧・三冊子(1702)赤双紙「抱き込んで松山広き在明(ありあけ)に」
自分仲間に引き入れる。うまく味方にする。抱きいれる。
評判記色道大鏡(1678)四「謀をめぐらし遣手をだきこみて」
ユリアとよぶ女(1968)〈遠藤周作〉「計画をどうしても実現させるためには淀君をだきこむことが必要だった」
③ まきぞえにする。
歌舞伎御国入曾我中村(1825)三立「たとへどんな痛え目をしたとて、此方の仲間を抱きこむものか」
[2] 〘他マ下二〙 (一)に同じ。
※燈前夜話(15C後)上「両手を以てだきこむるほどになったぞ」

かかえ‐こ・む かかへ‥【抱込】

〘他マ五(四)〙
① 腕でかこむようにして、からだにつけてしっかり支え持つ。両腕で持つ場合も、片腕で脇の下に持つ場合にもいい、また、比喩的に地形についてもいう。
二筋の血(1908)〈石川啄木〉「小さい藤野さんを小脇に抱へ込んでゐたが」
② おもに自分が使用するものとして、自分の領域内に持ちこむ。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉七「小桶を欲張って三つ抱へ込んだ男が」
担当、処理すべきものとして引き受ける。
記念碑(1955)〈堀田善衛〉「仕事は次第に増えてゆき、未処理のものだけでも一人で何十件も抱えこむということになって来ていたのだ」

だき‐こみ【抱込】

〘名〙
① だきこむこと。抱いて入れること。
② 仲間にひき入れたり、まきぞえにしたりすること。
※批評基準の退化(1955)〈埴谷雄高〉「軽い抱きこみに批評家が慣れてくる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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