掛素襖(読み)カケスオウ

デジタル大辞泉 「掛素襖」の意味・読み・例文・類語

かけ‐すおう〔‐スアヲ〕【掛素×襖】

《「打掛うちかけ素襖」の略》
室町時代武士略装素襖の裾をはかまの内に入れず、外へ垂らした服装
歌舞伎衣装で、大口袴などをはいた上に、素襖の上だけを打ち掛けて羽織ったもの。身分の低い者、旅人などに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「掛素襖」の意味・読み・例文・類語

かけ‐すおう ‥すアヲ【掛素襖・掛素袍ハウ

〘名〙
① (「うちかけ素襖」の略か) 室町時代頃の武士の略服。素襖の裾を袴(はかま)の下に入れ込まないで外に垂らした服装。一説に、素襖を上にうちかけ、袴や烏帽子をつけない服装。〔和訓栞(1777‐1862)〕
② 能の装束付の一つ。素襖の下(袴)は用いず、大口(おおくち)などの袴の上に、素襖の上だけをうちかけるように羽織るもの。「大仏供養」の前シテ、「清経(きよつね)」のワキなど、身分の低い者とか、旅人などに用いる。歌舞伎にも用いられる。
※歌舞伎・柳風吹矢の糸条(1864)「侍女宇佐美振袖侍烏帽子庵に木瓜(もくこう)の紋付きし草色の掛素袍(カケスハウ)にて雪洞(ぼんぼり)を持ち」

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