山川 日本史小辞典 改訂新版 「撚糸文系土器」の解説
撚糸文系土器
よりいともんけいどき
縄文早期前半の土器様式。砲弾形を呈する尖底(せんてい)の深鉢形土器で,絡条体(らくじょうたい)の回転押圧によって施文する撚糸文に最も特徴がある。回転縄文施文のJ型,撚糸文施文のY型,縄文撚糸文併用のJY型,無文のM型に分類され,第1様式(井草Ⅰ式),第2様式(井草Ⅱ式・大丸(だいまる)式),第3様式(夏島式),第4様式(稲荷台(いなりだい)式),第5様式(花輪台式・稲荷原式・大浦山式・東山式)の変遷過程がある。関東地方を中心に福島・山形・新潟県下に分布。神奈川県横須賀市の夏島貝塚の夏島式にともなう貝層のカキ殻と木炭を炭素年代測定した結果,9450±400年前とされたが,予想外の古さを示す測定値の是非をめぐり,縄文時代の実年代論争がおこった。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報