播磨稲日大郎姫(読み)はりまのいなびのおおいらつめ

朝日日本歴史人物事典 「播磨稲日大郎姫」の解説

播磨稲日大郎姫

古事記』『日本書紀』などに登場する伝承上の人物。『古事記』では針間之伊那毘能大郎女と書かれ,『日本書紀』には別名稲日稚郎姫というとある。『播磨国風土記』には,印南別嬢の名で登場する。第12代景行天皇皇后。同じく伝承上の人物である大碓皇子,小碓尊(日本武尊)の母。『古事記』『日本書紀』ではこの人物の事績に関する記述はないが,『播磨国風土記』には,景行天皇が求婚に訪れたときに彼女は南毘都麻島に逃げたとか,彼女の死後にその屍が印南川にまき込まれたとかいった伝承がみえる。この人物はもと播磨国印南地方(高砂市,加古川市,姫路市)の伝承上の人物あるいは神であり,その伝承が景行天皇の系譜中に取り入れられたのだろう。地名のイナミからの連想で,求婚をイナム(否む)話やナビツマ(隠び妻)の話が作られたと考えられている。

(佐佐木隆)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「播磨稲日大郎姫」の解説

播磨稲日大郎姫 はりまのいなびのおおいらつめ

記・紀にみえる景行天皇の皇后。
大碓(おおうすの)皇子,小碓(おうすの)皇子(日本武尊(やまとたけるのみこと))を生んだという。別名に稲日稚郎姫(わきいらつめ)。「古事記」では針間之伊那毘能大郎女とかき,若建吉備津日子(わかたけきびつひこ)の娘とある。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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