放線菌類(読み)ほうせんきんるい(英語表記)Actinomycetes

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「放線菌類」の意味・わかりやすい解説

放線菌類
ほうせんきんるい
Actinomycetes

分裂菌類のなかの一つの目。放射菌ともいう。細胞は桿状で,長く連なって菌糸状になり,平面培養基上で発育すると盛んに分枝して伸びるので,放線状のコロニーとなる。この菌糸状の菌体の太さは通常 1μmまたはそれ以下で,太くなっても 1.5μmをこすことはない。マイコバクテリウム科 Mycobacteriaceae,アクチノミケス科 Actinomycetaceae,ストレプトミケス科 Streptomycetaceae,アクチノプラネス科 Actinoplanaceaeなどの科があり,35属が知られている。マイコバクテリウム科では放射状の菌体の発育が悪く,平素は桿菌状であるが,特殊な培養基上でのみ放射状になる。この科の代表に結核菌Mycobacterium tuberculosis がある。アクチノミケス科にはノカルディア Nocardia,アクチノミケス Actinomyces などがあり,なかには病原性のものも知られている。ストレプトミケス科には結核菌に対する抗菌物質として有名なストレプトマイシンを生産するストレプトミケス Streptomyces があり経済的にも注目されている。この科のものは菌体の枝が気中に立ち上がり,その上にいろいろの形態の分生子状の小型の細胞を生ずるのが特徴である。アクチノプラネス科には水生のものが多く,最も分化した形態を示す。たとえばアクチノプラネス Actinoplanes のように小さな遊走子嚢をつくるもの,アムプラリエラ Ampullariella のように徳利形の胞子形成器官を生ずるもの,スピリロスポーラ Spirillospora のように渦巻状になった胞子形成器官を生ずるものなどがある。

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