ストレプトマイシン(読み)すとれぷとまいしん(英語表記)streptomycin

翻訳|streptomycin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストレプトマイシン」の意味・わかりやすい解説

ストレプトマイシン
すとれぷとまいしん
streptomycin

抗生物質の一つで、抗結核剤。1944年にアメリカの微生物学者ワックスマンが、放線菌であるストレプトミセス・グリゼウスStreptomyces griseusの培養液から抽出した、結核菌に有効なアミノ糖系抗生物質である。硫酸ストレプトマイシンとして使用されている。本剤の発見により結核の死亡率が激減した。パスPASパラアミノサリチル酸)、イソニアジドisoniazidとともに三大抗結核剤として長い間使用されたが、耐性菌出現と、副作用として難聴が多くみられるようになったこと、またショックもおこることから、新しい抗結核剤へと治療法が移り、使用量は激減している。注射のみで適用され、内服では吸収されない。

[幸保文治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ストレプトマイシン」の意味・わかりやすい解説

ストレプトマイシン
streptomycin

C21H39N7O12 。 S.ワクスマンらによって放線菌の一種 Streptomyces griseusの代謝物から発見されたアミノ糖抗生物質。細菌感染症,特に結核治療薬として用いられている。菌のタンク培養液からイオン交換樹脂を用いて単離精製する方法で工業生産されている。強塩基性物質で塩酸塩は白色粉末。溶媒には溶けにくい。細菌の蛋白質合成阻害を主とする作用を有すると考えられている。また,神経筋接合部遮断剤との協力作用が知られている。多用すると聴神経に障害をきたし,難聴になるおそれがある。

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