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新移民法(読み)しんいみんほう(英語表記)Immigration Reform and Act of 1986

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

新移民法
しんいみんほう
Immigration Reform and Act of 1986

外国からの入国を管理するアメリカの法律。 1875年以来たびたび制定されており,かつては 1924年移民法を代表例として移民を排除する目的のものが多かったが,65年移民法はすべての外国人を平等に受入れることを原則としている。 91年の改正では,94年まで移民の年間受入れ枠を 50万人から 70万人に拡大し,雇用移民の枠を 54,000人から 140,000人まで引上げた。これは労働力不足を解消するためと考えられているが,このために移民構成が複雑になり,92年4月のロサンゼルス暴動ではそれが表面化した。

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知恵蔵の解説

新移民法

主にメキシコ国境から流入する米国への大量の不法移民に歯止めをかけ、国境地帯の白人労働者の権益を守ることを目指した法律。1986年に発効。不法移民の雇用を禁じて労働市場からの締め出しを図る一方、82年以前に入国した不法入国者には、自己申告の条件付きで永住権を与える「特赦」も盛り込んだが、少数民族の団体やメキシコなどラテン・アメリカ諸国からは大きな反発を呼んだ。だが新移民法施行後間もなく、不法入国者の数は再び上昇に転じる。やがて、93年2月のニューヨーク世界貿易センタービル爆破事件や、同事件がらみでのイスラム原理主義指導者オマール・アブドルラーマン師の移民法違反による逮捕(同年7月)などを背景として、反移民感情が高まる中、国境警備強化によって、不法移民と合法移民とを区別していく方針が打ち出されていった。現在、米国内の不法移民者数は推計1200万人。その8割ほどをメキシコ出身者が占めるといわれる。米下院は2005年12月、不法移民取締法案を可決。不法滞在を刑法上の重罪とし、家族など支援者をも罪に問うその強硬な厳罰主義は、ラティーノたちの大きな反発を呼び、06年3〜5月の大規模な抗議行動を引き起こすこととなった。不法移民への対応については、取締強化か融和かで、米世論はほぼ二分されている。

(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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