月着陸船(読み)つきちゃくりくせん(その他表記)Lunar Module; LM

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「月着陸船」の意味・わかりやすい解説

月着陸船
つきちゃくりくせん
Lunar Module; LM

アポロ宇宙船母船と月着陸船の2つに分れており,着陸船は,月軌道上の母船から,2人の宇宙飛行士を乗せて月面まで往復する渡し船の役割をする。打上げのときは,サターンV型ロケットの3段目と母船との間に格納されているが,地球のまわりの軌道に乗ったあと,母船がとんぼ返りのドッキングをしてその先につけ,月まで運ぶ。全体の形状甲虫に似ており,高さ 7m,着陸用の4本の足を伸ばすと,さしわたし 9.45mになる。燃料,飛行士を含めると約 15t。中央からほぼ水平に,上昇部と下降部に分れ,下降部には,月へ降下するときに減速用に使う逆推進ロケットがあり,推力を 450~4500kgまで自由に変えられる。そのための推進剤や水や酸素タンク,観測器なども下降部に収められている。上昇部は飛行士の居住区で,利用できる空間は約 5m3離陸のときは下降部を発射台として月に残し,上昇部で飛び立ち,母船に戻ると着陸船は切捨てられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android