望月氏(読み)もちづきうじ

改訂新版 世界大百科事典 「望月氏」の意味・わかりやすい解説

望月氏 (もちづきうじ)

平安末期~戦国時代にかけて,現在の長野県佐久市の旧望月町付近に根拠を有した武士信濃の旧族とされる滋野(しげの)氏の分流で,滋野為通の三男広重が望月牧牧監(もくげん)として土着し,望月三郎を称したことに始まるとされる。平安末期,保元の乱(1156)に従った武士に望月氏がみえ,その後,治承・寿永の内乱に際しては源義仲に従い,鎌倉幕府成立後御家人となった。望月氏は鎌倉幕府滅亡後,北条時行を擁して起こした中先代の乱(1335)に与(くみ)した。そのため守護小笠原貞宗の命により居城の望月城は攻撃され落城した。以後望月氏は衰え,室町時代には大井氏の支配下に入ったといわれている。戦国時代には甲斐武田氏の信濃進攻により武田氏被官となり,1567年(永禄10)に遠江守望月信雅が武田氏に異心なき旨の起請文(きしようもん)を小県(ちいさがた)郡塩田(しおだ)の生島足島(いくしまたるしま)神社に奉納している。82年(天正10)の武田氏滅亡後,この地を支配した徳川家康の被官依田信蕃に降伏した武士の中に望月印月斎の名がみえる以外は,その動向は不明である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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