札幌区史(読み)さつぽろくし

日本歴史地名大系 「札幌区史」の解説

札幌区史
さつぽろくし

一冊 伊東正三編 札幌区 明治四四年刊

解説 新聞ジャーナリストとしてアイヌ保護問題、労働問題、地代・家賃問題などで論陣を張り、社会運動にも参加した編者が、札幌区の依嘱によって執筆編集したもの。北方問題にも一家言あり、札幌を北海道拓殖の策源地として捕え、さらに札幌史を帝国辺境史、帝国殖民事業の祖先史とする。第一編総論で札幌の自然をまとめたうえで、札幌の都市特性と住民の現況を多面的に論じ、以下第二編維新以前、第三編開拓使時代、第四編県治時代、第五編庁治時代に分け、各章節で政治・行政、教育、兵備財政・金融、宗教、産業以下、詳細に論じる。この頃すでに沿革史料に事欠かず、歴史の骨格は明治三〇年の「札幌沿革史」その他で明らかであり、その延長上で札幌を北海道史の流れのなかで縦横に語った一種名文であり、史論風である。昭和四八年復刻。復刻版では写真を巻頭にまとめ五〇頁、本文一千二九頁の大著。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報