条件付確率(読み)じょうけんつきかくりつ(英語表記)conditional probability

改訂新版 世界大百科事典 「条件付確率」の意味・わかりやすい解説

条件付確率 (じょうけんつきかくりつ)
conditional probability

偶然現象を数学的に記述するには,事象とその確率とが用いられる。二つの事象ABがあって,Aが起こったという条件のもとでBが起こる確率を条件付確率と呼んでPB/A)のように書く。それは考える偶然現象をAの範囲に制限し,Aを全体とみなして,そこでBの占める割合を表すもので,

により計算される。ABが独立なら,PB/A)はPB)に等しい。いくつかの条件を同時あるいは逐次に考える場合も同様で,A1A2,……,Akが起こったという条件のもとで,Bの起こる条件付確率PB/A1∩……∩Ak)は,である(分母は0でないとする)。時系列において,時刻nin1n2<…<nk)でそれぞれ事象Aiが起こったとき,時刻n(>nk)で事象Bが起こる条件付確率は上記の分数で表され,それはこの時系列の時間的な推移のようすを記述する。とくにそれが時刻nkでの事象Akのみに依存するとき,すなわちPB/Ak)に等しいとき,この時系列はマルコフ過程である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の条件付確率の言及

【確率】より

…銅貨を投げて表が出たり裏が出たりするのは同じ程度に期待できるとか,明日は雨がほとんど降ることはなかろうなど,偶然に支配されて起こる事柄について,それが起こる可能性の大小を表す数値が確率である。そしてそのような現象を数学的に取り扱うのが確率論である。実際の具体的な現象では偶然に起こる事実に加えて他のいろいろな要因が関係してきて複雑になるので,理想化したモデルを想定して考えることが多い。それにしても,偶然とかでたらめの中にある法則を見つけて推論を進めていくだけに,確率の取扱いには厳密な議論が必要となる。…

【従属】より

…確率論の用語。いくつかの事象があって,それらが互いに影響しあって起こる場合を指す。例えば,n本のくじの中で当りくじがm本であるとき,最初に引く人が当たるのと,次に引く人が当たるのとは従属している。すなわち最初の人が当たる確率はm/nで,この事象が起こったとしたとき,次の人が当たる確率(条件付き確率)はであるが,最初の人が当たらなかった場合は次の人の当たる確率はとなって同じではない。これに反し,最初に引いた人が,当たっても当たらなくても,引いたくじを元に戻せば,次の人の結果は前とは無関係になってしまう。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」