東スーダン諸語 (ひがしスーダンしょご)
Eastern-Sudanic
ナイル・サハラ語族の下位区分である,シャリ・ナイル諸語Chari-Nileに属する言語群。スーダン全域からナイル川上流のウガンダ,ケニア,さらにタンザニアに至る広い地域に分布している。スーダンのナイル川流域とコルドファンにおけるヌビア語Nubianの多くの方言,ダールフール・ワダイ地方のタマ語,マラリット語,ダジュ語,ウガンダのテウソ語など,さらにはナイル言語群(ナイロート語群)Niloticと呼ばれる多数の言語が含まれる。
ナイル言語群のうち,(1)西ナイル言語群Western Niloticには,白ナイル川流域のスーダン,エチオピアのディンカ語,ヌエル語,シッルク語,ウガンダに入ってアチョリ語などのほか,ケニアにルオ語があり,(2)東ナイル言語群Eastern Niloticには,スーダン,ウガンダのカクワ語,ケニアのカラモジョン語,トゥルカナ語,テソ語,ケニアからタンザニアにまで及ぶマサイ語など,(3)南ナイル言語群Southern Niloticには,ケニアのナンディ語の多くの方言,タンザニアのタトーガ語などが含まれる。
執筆者:松下 周二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の東スーダン諸語の言及
【ナイル・サハラ語族】より
…下位区分には,(1)ニジェール川中流域のソンガイ語,ジェルマ語などのソンガイ語群Songhai,(2)ナイジェリアのボルヌ地方のカヌリ語,サハラのテダ語,ダザ語などの属するサハラ語群Saharan,(3)チャドのワダイ地方のマバ語群Maban,(4)スーダンのダルフール地方のフール語Fur,(5)エチオピア・スーダン国境地帯のコマ語群Koman,(6)シャリ・ナイル諸語Chari‐Nileがある。シャリ・ナイルグループは,この語族最大の分枝であり,さらに(a)東スーダン諸語Eastern Sudanic,(b)チャド,中央アフリカ,コンゴ民主共和国からスーダン西部の中央スーダン諸語Central Sudanic,(c)エリトリアのクナマ語群Kunama,(d)スーダン・エチオピア国境のベルタ語群Bertaに細分されている。 この語族の言語はすべて,音の高低によるアクセントをもつ音調言語である。…
【アフリカ】より
…ソンガイ語Songhai,カヌリ語Kanuri,マバ語Maba,コマ語Koma,クナマ語Kunamaなどに代表される七つの小語群とシャリ・ナイル諸語Chari‐Nileという一大語群で構成されている。シャリ・ナイル諸語は東スーダン諸語Eastern Sudanicと中央スーダン諸語Central Sudanicに代表される4語群に分かれるが,そのうちの東スーダン諸語にはヌビア語Nubianなどのほか,ナイロート語群Niloticに入るマサイ語Masai,テソ語Teso,スク語Suku,ディンカ語Dinkaなど名前が知られた言語も多い。
[アフロ・アジア語族]
従来の[ハム・セム語族]とほぼ一致し,さらにチャド,ナイジェリアなどの一部の言語を含む。…
【ナイル・サハラ語族】より
…下位区分には,(1)ニジェール川中流域のソンガイ語,ジェルマ語などのソンガイ語群Songhai,(2)ナイジェリアのボルヌ地方のカヌリ語,サハラのテダ語,ダザ語などの属するサハラ語群Saharan,(3)チャドのワダイ地方のマバ語群Maban,(4)スーダンのダルフール地方のフール語Fur,(5)エチオピア・スーダン国境地帯のコマ語群Koman,(6)シャリ・ナイル諸語Chari‐Nileがある。シャリ・ナイルグループは,この語族最大の分枝であり,さらに(a)東スーダン諸語Eastern Sudanic,(b)チャド,中央アフリカ,コンゴ民主共和国からスーダン西部の中央スーダン諸語Central Sudanic,(c)エリトリアのクナマ語群Kunama,(d)スーダン・エチオピア国境のベルタ語群Bertaに細分されている。 この語族の言語はすべて,音の高低によるアクセントをもつ音調言語である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」