梯立の(読み)はしたての

精選版 日本国語大辞典 「梯立の」の意味・読み・例文・類語

はしたて‐の【梯立の】

① 古代の倉は高床式で、梯(はし)、つまり、はしごをかけたところから、倉にかけるはしごの意の「倉梯」と同音の地名「倉梯(くらはし)」にかかる。
※古事記(712)下・歌謡「波斯多弖能(ハシタテノ) 倉梯山を 嶮しみと 岩懸きかねて 我が手取らすも」
② はしごを立てたようなというところから、けわしい意の「さがし」にかかる。
書紀(720)仁徳四〇年二月・歌謡「破始多氐能(ハシタテノ)(さが)しき山も 我妹子と 二人越ゆれば 安席(やすむしろ)かも」
③ 地名「熊来(くまき)」にかかる。かかり方未詳。
万葉(8C後)一六・三八七九「(はしたての) 熊来酒屋に 真罵(まぬ)らる奴 わし 誘(さす)ひ立て 率て来なましを 真罵らる奴 わし」
[補注]「はし」については「桟(かけはし)」の意と見る説もある。また、VまたはY字形をしたものが「はし」で、先端の分かれた樹枝などをいい、古代にはその分かれ目を呪力の象徴と見ていたもので、これに境界を守る力を託して立てたところから、「隅(くま)」や「嶮(さが)しき山」にかかり「座(くら)」にかかるとする説もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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