内科学 第10版 「横隔膜炎」の解説
横隔膜炎(横隔膜の疾患)
横隔膜近傍の炎症が波及することで二次的に起こる.炎症が波及する経路には胸腔側からと腹腔側からとがあるが,胸腔側から波及する頻度は低い.横隔膜炎は腹腔の炎症,特に横隔膜下膿瘍に続発する場合が多い.
臨床症状
症状としては,原疾患の症状に加え胸痛,吃逆,上腹部痛,腹部膨満感などが出現する.また,いわゆる横隔膜痛(diaphragmatic pain)を伴うこともある.これは一種の関連痛と理解されており,横隔膜中央部の病変により生じる僧帽筋上縁の痛みと,辺縁部の病変により生じる肋骨弓縁に沿った痛みを指す.
治療
原因となった疾患の治療が必要である.[鰤岡直人・清水英治]
■文献
鰤岡直人:胸部写真が正常な呼吸器疾患.フレイザー,呼吸器病学エッセンス: 清水英治,藤田次郎監訳, pp 1001-1012, 西村書店,2009.
Fraser RS, Neil C et al: Disease of the diaphragm and chest wall. In: Synopsis of Diseases of the Chest (3rd ed), pp 897-911, Elsevier, Philadelphia, 2005.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報