日本歴史地名大系 「正保年間江戸絵図」の解説
正保年間江戸絵図(正保江戸絵図)
しようほうねんかんえどえず
二五七・五×二〇一・五センチ 写図彩色 都立中央図書館ほか蔵
解説 大型図として現存最古。国立公文書館内閣文庫・国立国会図書館・東京都公文書館の各写図が正保元年御江戸絵図・正保年中江戸絵図など別に付題される。市外まで範囲は格段に広く、絵画的描写はほとんど失せ図的表現に踏込んでいるが、精度は低く周辺の描線には破綻がある。市街の展開とある程度の実測を思わせ測量作図法の過渡的な状況を示すと思われる。幕府が全国的な国絵図・城絵図の作製を命じた時期と関連するか。書込みと内容で正保元年七月二四日以降一一月二二日以前と考証される。明暦大火以前にこの測図があるのは、初期市街の街区機能がすでに限界に達し、大火は変革の原因ではなく誘因であったかと思わせる。古板江戸図集成(線描影写無彩)・「東京市史稿」市街篇付図に収載。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報