化学辞典 第2版 「毒作用」の解説
毒作用
ドクサヨウ
poisoning
被毒ともいう.触媒表面と強く結合する分子種の立体障害あるいは電子的相互作用により反応速度が低下する現象.触媒側からみて被毒とよんでいる.反応系に混入している不純物などの触媒毒の作用のほか,反応分子自身またはその解離生成物,あるいは生成分子による自己被毒がある.被毒には,アンモニア合成触媒に対する水蒸気のように,乾いた反応気体による洗い流しなどの比較的穏やかな処理によって触媒活性が回復する一時被毒と,回復不可能な永久被毒に分かれる.毒作用は触媒および反応系について選択的であるが,その量的表現には触媒毒物質の濃度cのときの反応速度定数kc を,
kc = k0(1 - αc)
とし,毒性係数αを用いる.k0 は被毒がないときの速度定数であり,この式はcの小さいときに広く成立する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報