比較生産性(読み)ひかくせいさんせい(英語表記)comparative productivity

日本大百科全書(ニッポニカ) 「比較生産性」の意味・わかりやすい解説

比較生産性
ひかくせいさんせい
comparative productivity

一国におけるある部門生産性と一国全体の生産性の比率をいい、相対所得ともよばれる。産業構造の分析にしばしば用いられる概念である。生産量とその生産のために要した労働投入量の比率を(労働)生産性というが、比較生産性は、表現を変えれば、一国の総生産物に占めるある部門の割合(所得構成比)と、一国の総労働投入量に占めるその部門の割合(労働力構成比)との比率であるということができる。比較生産性は長期的にみれば、第一次産業と第三次産業では低下傾向を、第二次産業では上昇傾向を示すことが知られている。

[三浦正史]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の比較生産性の言及

【農業】より

…農業のこのような地位低下は,農業の発展が他産業の発展に追随できないことを示すものであり,その結果でもある。実際また,就業者1人当りの純生産額を比較してみても(これを比較生産性という),1960年代以降ほぼ一貫して,農業の比較生産性は非農業のそれの20~30%台にとどまっている。
[日本農業の課題]
 現代の日本農業が抱えている主要な問題をあげておくと,第1は,以上のような農業の地位の低下のもとで,農産物自給率が著しく低下していることである(表3参照)。…

※「比較生産性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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