精選版 日本国語大辞典 「生産」の意味・読み・例文・類語
せい‐さん【生産】
しょう‐さん シャウ‥【生産】
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人間生活に必要な物資・用役をつくりだす経済的行為のこと。用役(サービス)の提供をも生産とみるかどうかで、経済学の見方は二つに分かれる。
[一杉哲也]
主として投下労働価値説にたつ人々は、物的生産のみを生産とみるので、農林水産業・鉱業・工業・建設業などの物的生産部門と、それに直結する運輸業・倉庫業・通信業などの物的流通部門が生産部門であるとしている。これらの生産物を生み出す労働が生産的労働であり、これ以外の主として人が人にサービスを提供する労働は不生産的労働とよばれる。
この見方は、経済とは人間が労働力を発揮して、機械・道具などの生産手段を用いて自然に働きかけ、人間生活に必要な物資を獲得する行動であるとする経済観に基づいている。ついで経済を生産→分配→消費・蓄積→生産という、無限に繰り返される循環過程としてみるとき、生産に人々がどう関係しているかによって分配のルールが決まるし、分配分を得て初めて人々は消費・蓄積できるのだから、生産は経済の本源的・基礎的行為であることになる。
これに対して、主として主観価値説にたつ人々は、用役(サービス)の提供も生産とみる。これは、生産が人間の欲求充足のために行われるのであり、経済循環を消費・蓄積→生産→分配→消費・蓄積の繰り返しとみて、人間が直接・間接に欲求する物資・用役だけが生産されるとみているのである。
この場合、直接、欲求充足に用いられない生産手段そのものの生産、すなわち蓄積がなぜ行われるかが問題となろう。これに対する答えが迂回(うかい)生産である。ある期間において生産可能な生産物すべてを消費してしまわないで、その一部を間接的な生産手段として蓄積すれば、次の生産段階でそれを利用することによって、直接的な消費物資がより能率的に生産できる。こうした回り道的な生産の有利さが「迂回生産の利益」である。
[一杉哲也]
生産に本源的に必要とされる財あるいは用役は生産要素とよばれ、伝統的な古典派経済学の区分に従えば労働・土地・資本の三つに分類される。この分け方は、生産要素が生産過程で協働する点ではなく、むしろ労働に賃金、土地に地代、資本に利子および利潤というように、当時のイギリスの三大階級に階級所得が分配される点にその視点を置いていた。しかし現在では生産に視点を置いて、労働力・土地・資本財を生産の三要素とする考え方がとられるようになった。労働力は労働が提供する用役であり、土地は大地の広がりとしての土地だけでなく、生産に必要なすべての自然資源・気候・風土などを含み、資本財は道具・機械・設備・原材料・燃料・動力などをさしている。また、労働と土地はその性格上、本源的生産要素とよばれ、資本財は生産された生産手段とよばれる。
一方、このような区分に対して、企業者能力を生産要素の一つに数える考え方がある。そこでは企業者能力に対する報酬は企業利潤とされる。しかし、もし企業者能力をもつ企業者に希少性があるならば、革新と競争が行き着いた静態的・単純再生産的状態でも企業利潤は消滅しないが、そのとき企業利潤は企業者賃金ともよばれるべきものとなる。また私有財産制を否定する社会主義社会においては、企業利潤は存在しても、それは企業者には帰属しないから、企業者能力を生産要素の一つとすることはできないとされている。
[一杉哲也]
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…この概念は資本主義経済あるいはその萌芽である経済組織を分析するための概念として発生したものであり,その意味は根本において二つに限定される。資本は第1に,個人にとって所得を得るための手段である資産の蓄積を意味し,第2に,社会にとって生産を行うための要件である実物の蓄積を意味する。日常の用法では,〈資本〉の語は元手,つまり貸付けを通じて利子を獲得するための元金,あるいは営業の成立に必要な資金を指すのが普通である。…
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