日本大百科全書(ニッポニカ) 「気管えら」の意味・わかりやすい解説
気管えら
きかんえら
水生昆虫の幼虫や蛹(さなぎ)にみられる呼吸器官。表皮が糸状ないし葉状、嚢(のう)状に突出し、内部には気管小枝が分布し、その末端から表皮を通じて水中の酸素を取り込む。気管えらをもつ昆虫には気門はない。襀翅(せきし)類(カワゲラ)、蜉蝣(ふゆう)類(カゲロウ)、毛翅類(トビケラ)、脈翅類(ヘビトンボ)などの水生幼虫では、腹部付属肢が変形して気管えらとなっているものが多い。トンボ類のなかでは、イトトンボ科の幼虫の気管えらは尾端の肛上板(こうじょうばん)および肛側板よりなり、とくに尾鰓(びさい)とよばれる。また、トンボ科の幼虫(ヤゴ)では直腸内面が気管えらとなっており、直腸えらとよばれる。
[町田武生]