化学辞典 第2版 「水チェレンコフ検出器」の解説
水チェレンコフ検出器
ミズチェレンコフケンシュツキ
water Cherenkov detector
水中チェレンコフ光イメージ検出器ともいう.水中を荷電粒子が光速を超えて走るときに発生するチェレンコフ光を検出することによって,素粒子の引き起こす反応を検出する装置.おもな対象はニュートリノ,理論的に予想される陽子崩壊などである.媒質中の光速は,媒質の屈折率がnのとき,真空中の光速cの1/nである.電子のような軽い荷電粒子は,媒質中の光速より速く走れるのでチェレンコフ光を発生させることができる.チェレンコフ光は,粒子の進行方向に速度に応じた角度の円すい状に放出されるので,壁面に設置した光電子増倍管で観測することにより,粒子の方向を知ることができる.岐阜県神岡鉱山のスーパーカミオカンデ,アメリカのクリーブランド近くのIMB(カリフォルニア大学アーバイン校,ミシガン大学,ブルックヘブン国立研究所),カナダのオンタリオ州サドベリーのSNO(Sudbury Neutrino Observatory,重水1000 t 使用)などがある.スーパーカミオカンデの前身カミオカンデが,1987年に超新星からのニュートリノを観測して一躍有名になった.媒質は水以外でもよく,低温の液体キセノンを使用する検出器も建造されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報