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素粒子 そりゅうし elementary particle

翻訳|elementary particle

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

素粒子
そりゅうし
elementary particle

物質を構成する最も基本的,かつ要素的な粒子。すべての物質は分子原子からなり,原子は原子核とそれを取り巻く電子から構成されている。原子核はまた陽子中性子の結合したものであり,陽子や中性子はさらに 3個のクォークから構成されていることがわかっている。

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知恵蔵2015の解説

素粒子

素粒子は、物質の根源をタマネギの皮をむくように探るとき、原子核より下の世界に現れる粒子群。陽子、中性子のような重粒子(バリオン=baryon)類、パイ中間子などの中間子(メソン=meson)類(両類をハドロン=hadronと総称)、電子、ニュートリノなどのレプトン、光子などのゲージ粒子を含む。基本粒子は、その最小単位。ハドロンを形づくるクオークや、レプトン、ゲージ粒子を指す。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

そ‐りゅうし〔‐リフシ〕【素粒子】

物質を構成する最小の単位で、それ以上細かく分けられないもの。物質を構成するクオークレプトン、およびそれらの間に働く力を媒介するゲージ粒子素粒子に重力を与えるヒッグス粒子が知られる。スピン量子数によって、フェルミ粒子(クオーク・レプトン)とボース粒子(ゲージ粒子・ヒッグス粒子)に分類される。
朝日新聞の夕刊1面に掲載されているコラム。→天声人語

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百科事典マイペディアの解説

素粒子【そりゅうし】

現代の物理学において物質または場を構成する基本粒子と考えられている実体。粒子と波動の二面性をもち,また不変のものでなく相互作用により相互に転換したり生成消滅したりする。
→関連項目アルバレズウィークボソン核力γ線基本粒子近接作用グレーザー原子論素粒子物理学τ粒子Wボソン中間子電子電弱統一理論二中間子論ニュートリノハイペロンバリオン非局所場の理論V粒子フェルミ粒子ボース粒子粒子線治療量子色力学量子力学レプトン

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世界大百科事典 第2版の解説

そりゅうし【素粒子 elementary particle】

古代ギリシアレウキッポスデモクリトスは,物質を細かく分割していったら最後にはどうなるであろうかという問題を思索し,ついにはこれ以上分割できない最小の単位が存在するという結論に達した。このような最小の単位は〈分割できないもの〉という意味でアトムと呼ばれた。19世紀になって,イギリスの化学者J.ドルトンは,このような物質の最小の単位の存在を科学的に証明し,これに古代ギリシアの〈アトム〉という名を与えた。

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大辞林 第三版の解説

そりゅうし【素粒子】

物質または場を構成する基本的な粒子。陽子・中性子・電子・中間子など、比較的安定な素粒子だけでも数十種類ある。素粒子固有の性質として、電荷・質量・スピン・寿命などがあり、また、それぞれに反粒子が存在する。半整数スピンのフェルミ粒子はバリオンとレプトンに、整数スピンのボース粒子は中間子と光子およびウィークボソンに大別される。このうち、強い相互作用をするバリオンと中間子はハドロンと総称され、さらに基本的な粒子クオーク、グルオンから構成されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

素粒子
そりゅうし
elementary particle

自然界の物質を構成するもっとも基本的な構成要素を素粒子という。ミクロの世界では量子力学と相対論の法則に従って、素粒子は互いに生成・消滅をくり返している。

基本構成要素と階層構造

古代ギリシアの時代から、自然哲学者たちによる物質の根源的な要素の探究の歴史は始まっていた。デモクリトスは、物質の根源的な構成要素を、分割できないものという意味で「アトム(原子)」と名づけた。その後長い年月を経て、19世紀の化学の発展により、物質の化学反応で変化しない基本構成要素として原子(Atom)がみいだされた。さらにその後、物理学の発展とともに、原子は原子核と電子から、原子核は陽子と中性子からなり、さらに陽子や中性子すなわち核子はクォークからなることが明らかになった。このように物質は階層構造をなしており、基本構成要素は時代とともに変化してきた。現在では、ハドロンを形成するクォークや電子の仲間のレプトン(軽粒子)が物質の元となる基本的粒子であり、それらの間の力を媒介するゲージ粒子をあわせて、これらが言葉の本来の意味での「素粒子」である。すなわち、陽子や中性子さらに湯川秀樹の中間子論で核力を媒介するπ(パイ)中間子などはクォークおよびその反粒子である反クォークからなる複合粒子であるから、もはや「素粒子」ではないが、1930年代から陽子、中性子、電子、光子を素粒子とよんでいたこともあり、慣用的に素粒子の中に含められることが多い。[植松恒夫]

素粒子の分類

素粒子の分類は、まず相互作用の性質によると、強い相互作用をする核子やπ中間子の仲間であるハドロン、強い相互作用をしない電子の仲間のレプトン、相互作用を媒介するゲージ粒子に分けられる。
 一方素粒子は、スピン(プランク定数hを2πで割った値を単位とする)が整数のものをボース粒子(ボソン)、半整数のものをフェルミ粒子(フェルミオン)の二つに大別される。
 ハドロンを構成するクォークや電子はスピンが1/2でフェルミオンであり、ゲージ粒子はスピンが1でボソンである。フェルミオンは同じ状態には1個しか入れないというフェルミ‐ディラック統計に従うのに対し、ボソンは同じ状態に何個でも入りうるというボース‐アインシュタイン統計に従う。[植松恒夫]

ハドロンからクォークへ

核子やπ中間子など強い相互作用を行う粒子をハドロンという。ハドロンは大別して、核子の仲間のバリオン(重粒子)とπ中間子の仲間のメソン(中間子)に分けられる。20世紀半ばに発見された当初、ハドロンは基本的な粒子と考えられたが、その後の加速器の実験で数百種類もの粒子が発見されて、ハドロンはより基本的な粒子の複合状態であると考えられるようになった。核子の仲間では宇宙線中にストレンジネスという量子数をもったΛ(ラムダ)粒子が見つかって、中野董夫(ただお)(1926―2004)、西島和彦、M・ゲルマンによる、この新たな量子数とバリオン数、アイソスピンおよび電荷を結ぶ規則いわゆる中野‐西島‐ゲルマン則(NNG則)が発見された。坂田昌一は当時知られていた陽子(p)、中性子(n)、Λ粒子(Λ)を基本粒子としてハドロンはそれらとその反粒子から構成されるという複合模型いわゆる坂田模型を提唱した。すなわち陽子と中性子がアイソスピン第3成分の±1/2を担い、Λ粒子がストレンジネスを担うことで、上記のNNG則や中間子の8個の粒子の組(オクテット)の構造を説明することができ、またこれら3要素がつくる複合系に3次元ユニタリー群(SU(3)群)の対称性があることが、池田峰夫(1926―1983)、大貫義郎(よしお)(1928― )、小川修三(1924―2005)の3名と山口嘉夫(1926―2016)によってみいだされた。しかし、坂田模型ではバリオンの8個の組を説明することができなかった。この模型の困難をみたゲルマンとツバイクGeorge Zweig(1937― )はそれぞれ独立に基本粒子をハドロンとは別の階層の新たな粒子(ゲルマンはそれらを「クォーク」と名づけ、ツバイクは「エース」とよんだが、クォークが定着した)u,d,sを導入し、これらとその反粒子の複合状態としてハドロンを説明するクォーク模型を提唱した。その電荷は、電気素量eを単位として、uクォークが2/3、dクォークが-1/3、sクォークが-1/3。アイソスピンの第3成分はu,dがそれぞれ1/2と-1/2、sクォークがゼロでストレンジネスはu,dがゼロ、sが-1と与えられる。のように、核子やΛ粒子の仲間のバリオンはクォーク三つで構成される。一般に、クォークをqで表すとバリオンはB~(qqq)と記すことができる。たとえば、陽子はp~(uud)、中性子はn~(udd)、またΛ粒子はΛ~(uds)である。またπ中間子、K中間子の仲間のメソンMはクォークqと反クォークからなり、M~(q)と表せる。たとえばπ~(u)、π-~(d)、K+~(u)である。クォーク模型はバリオンの10個組(デカプレット)の存在を予言し、そのなかのストレンジネス-3のΩ-粒子~(sss)が実験で見つかり、大きな成功を収めた。[植松恒夫]

クォーク

現在ではクォークは前述のu(アップ)、d(ダウン)、s(ストレンジ)のほかに、これらより質量が重いc(チャーム)、b(ボトム)、t(トップ)の三つをあわせて6種類のクォークが知られている。これをクォークには六つのフレーバー(香り)があるという。また、フェルミオンのスピンと統計との整合性から南部陽一郎らによって提唱されたように、各クォークには、赤、青、緑の3種のカラー(色電荷)とよばれる内部自由度がある。核子を構成する三つのクォークのカラーは赤、青、緑でそれらが混じり合って無色となり、色電荷は外には現れない。中間子もクォークの3種の色電荷とその反クォークの反対色の反赤、反青、反緑の間で無色となってカラーは外に現れない。実験では素電荷の2/3倍といった分数電荷はみつかっていない。すなわち、クォークは単独では外に出てこない。これをクォークの閉じ込めという。一方、前述のクォークのフレーバーに関して、観測されている物質と反物質の非対称性(CP対称性の破れ)を説明するにはクォークが6種類以上必要であることを小林誠と益川敏英が1973年に指摘した。最後まで未発見であったトップ・クォークも1995年にアメリカのフェルミ国立加速器研究所の陽子・反陽子衝突の実験で見つかった(表1)。[植松恒夫]

レプトン

強い相互作用をしない粒子で、クォークとともに物質を構成する電子の仲間の粒子をレプトン(軽粒子)という。レプトンは弱い相互作用と電磁気相互作用を行う。電子e、ミュー粒子μ、タウ粒子τとそれらに付随したニュートリノ(νe、νμ、ντ)からなる。これらは以下のように3世代に分かれる。
第1世代 電子(e)、電子ニュートリノ(νe)、およびそれらの反粒子
第2世代 ミュー粒子(μ)、ミューニュートリノ(νμ)、およびそれらの反粒子
第3世代 タウ粒子(τ)、タウニュートリノ(ντ)、およびそれらの反粒子
 表1に示すように、クォークとレプトンはそれぞれ二つの粒子が組になって一つの世代を構成する。チャームクォーク(c)は、はじめこのクォーク・レプトンの対応から、牧二郎(1929―2005)や原康夫(1934― )らによって存在が予想された。またクォークが互いに混合するように、ニュートリノも質量をもつことにより世代間で混じり合う、いわゆるニュートリノ振動が起きる。[植松恒夫]

基本的相互作用

自然界に存在する基本的な相互作用(力)は、強い力、弱い力、電磁気力、重力の四つと考えられている。強い力はクォークを結合させてハドロンを構成する力で、グルーオンによって媒介され、弱い力は原子核のベータ崩壊や構成内部の核融合をつかさどる力で、ウィークボソンによって媒介される。電磁気力は電子と原子核を結びつけて原子を形成する力で、光子(フォトン)によって媒介される。重力は万有引力ともよばれ、力を媒介するのは重力場に伴う重力子(グラビトン)である。基本的相互作用の相対的な強さは、10-15mの距離でおおよそ強:電磁:弱:重力=1:10-2:10-5:10-39である(表2)。[植松恒夫]

ゲージ粒子

基本粒子間の相互作用を媒介する粒子で、標準模型の基礎となるゲージ理論においてゲージ場に伴う粒子である(表3)。
グルーオン
グルーオンは電気的に中性でスピンが1の粒子である。クォークが3色のカラー荷をもつのに対して、グルーオンは8色のカラー荷を有し、その交換によって強い力を生じる。これを説明する理論が量子色力学(QCD)である。その力の特徴はクォークがお互いに近づくほど弱くなり、逆に離れれば離れるほど強くなることである。この性質を漸近的自由性という。これにより、カラーをもったクォークやグルーオンは単独では外へ出てこられないことが理解される。これをクォークとグルーオンの閉じ込めという。[植松恒夫]
光子
電磁場を量子化したときに現れる粒子でフォトンともよばれる。質量がゼロ、スピンが1である。電子と光子の相互作用を記述する量子電気力学(QED)は結合定数である微細構造常数α=1/137で展開する摂動論のくりこみという操作で無限大の量を処理すると、極めて高い精度で実験事実を説明する。R・ファインマン、J・シュウィンガー、朝永振一郎はこの理論の発展に貢献した業績でノーベル賞を受賞した。[植松恒夫]
ウィークボソン
弱い相互作用を媒介するスピン1のボソンで、電荷が±1のW±とゼロのZ0の3種類があり、質量はそれぞれ80.4ギガ電子ボルト(GeV)、91.2GeVである。これらのベクトルボソンが質量を獲得するのは、後述の自発的対称性の破れで現れる質量ゼロのスカラー粒子(南部‐ゴールドストン粒子)をベクトル場の縦成分に吸収することによる。[植松恒夫]
重力子
重力相互作用を媒介する粒子で、グラビトンともよばれる。質量ゼロ、スピン2の粒子である。電磁場に量子力学を適用すると場に付随した量子として光子が現れるように、重力場を量子化すると重力子が登場する。未だに実験では見つかっていない。[植松恒夫]
自発的対称性の破れ
素粒子の系はある種の変換に対して、その性質が不変に保たれるという特徴をもっている。これを対称性という。たとえば相対性理論で慣性系の間のローレンツ変換で運動法則が不変であるときローレンツ対称性があるという。また、電磁場などのゲージ変換で理論が不変である場合、ゲージ対称性があるという。今、ある対称性を有する系が最低のエネルギー状態すなわち真空に移行する際に、この対称性が成り立たなくなる場合、自発的対称性の破れが生じるという。例として、鉄やニッケルなどの強磁性体では、温度を下げると外から磁場をかけなくてもスピンの方向、いい換えれば磁気モーメントの方向が揃うといういわゆる自発磁化が起きる。これは系を回転させても性質が変わらない回転対称性が自発的に破れたことに対応する。スピンが1/2のフェルミオンの右巻き成分と左巻き成分を独立に異なるフレーバーの方向に変換する対称性、いわゆるカイラル対称性が自発的に破れるモデルを、南部陽一郎とジョナ・ラッシーニョGiovanni Jona-Lasinio(1932― )が提唱した。この破れで核子の質量が説明できると同時に質量がゼロでスピンゼロのボソンが現れる。これを南部‐ゴールドストン・ボソンという。π中間子は近似的にこのようなボソンと考えられている。[植松恒夫]
ヒッグス粒子
ヒッグス粒子は標準模型で素粒子に質量を与える粒子である。この粒子の場すなわちヒッグス場が自発的対称性の破れで真空中に凝縮すると、各素粒子はヒッグス粒子との結合の大きさに応じて質量を生じる。比喩的には、ヒッグスが満ちた空間中を素粒子が通過するときにいわば抵抗を受けて質量を獲得することになる。WボソンやZボソンはゲージ対称性が破れていなければ質量はゼロであるが、対称性が自発的に破れることで質量を得る。クォークやレプトンもヒッグス粒子との湯川結合を通して質量を得る。このメカニズムは、1964年にピーター・ヒッグスによって提唱されたので「ヒッグス機構」と呼ばれる。同じ年の1~2か月前にF・アングレールとR・ブラウトによっても同様の理論が独立に提唱されていた。さらにG・S・グラルニック、C・R・ハーゲン、T・W・B・キッブルも少し遅れて同様の理論を発表している。2012年7月にCERNのLHC(Large Hadron Collider:陽子―陽子衝突型加速器)でATLASとCMSの二つの実験グループは質量が125GeV付近にヒッグスとみられる新しいボソンを発見したと報告した。その後の詳しい解析で、2013年3月には両グループはこの粒子の崩壊モードの詳細な結果を得る一方、スピンがゼロでパリティがプラスであることを確認し、これが標準模型のヒッグス粒子であることを強く示唆していると報告した。同年10月にノーベル物理学賞がヒッグスおよびアングレール両博士に与えられることが発表された(ブラウト博士は2011年に死去)。[植松恒夫]
CP対称性の破れ
CP対称性は、系に電荷の符号を反転させる荷電共役変換(C変換)と空間を反転すなわち右手系と左手系を入れ替えるパリティ変換(P変換)を同時に行ったとき、すなわちCP変換に対して、系の性質が変わらない対称性をさす。CP変換は物質と反物質を入れ替えるので、CP対称性が破れていれば物質と反物質で振る舞いに違いが生じる。1973年の小林誠、益川敏英のCP対称性の破れの理論では、クォークのフレーバー(種類)が六つ以上あればクォークの混じり合いを表すCKM行列に複素数の位相が現れることで、CP対称性の破れが起きうることが示された。この理論の検証を目指した高エネルギー加速器研究機構(KEK)のBファクトリーのBelle実験で、2001年、CP対称性の破れを示す実験結果を得た。同様の結果はアメリカのスタンフォード加速器センターのBaBar実験でも確認された。[植松恒夫]
超対称性
ボソンとフェルミオンを結びつける対称性で、supersymmetryとよばれる。自然界にはスピンが整数のボース粒子(ボソン)と半整数のフェルミ粒子(フェルミオン)が存在する。クォークとレプトンはスピンが1/2のフェルミオンであり、弱・電磁および強い相互作用を媒介するゲージ粒子はスピン1のボソンである。また重力子はスピン2のボソンである。場の量子論の高エネルギー領域における量子効果での発散の度合いは、フェルミオンとボソンで相殺して弱まる特徴があり、重力の量子効果が問題となる1019GeVと弱・電磁相互作用が統一される102GeVの大きなスケールの隔たり、いわゆるゲージ階層性の問題を説明するなど、力の統一理論で重要な働きをする対称性と考えられている。この対称性より、既存の粒子にはスピンが1/2だけ異なる相棒の粒子が伴うことがいえる。すなわちクォークやレプトンにはスピンがゼロのスクォークやスレプトンが、またスピン1のゲージ粒子にはスピン1/2の超対称粒子が存在する。超対称性粒子は現実の低いエネルギーの世界で発見されておらず、元の粒子に比べて大きな質量をもっていると考えられ、LHC等の加速器で探索が行われている。[植松恒夫]
相互作用の統一理論
自然界の四つの基本的な相互作用は低いエネルギーでは見かけが異なるが、きわめて高いエネルギーでは同じ強さとなり、本質的に一つの理論に統一されるのではないかと考えられている。弱い力と電磁気力はSU(2)×U(1)群に基づくグラショー‐ワインバーグ‐サラムによる統一理論がすでに確立されている。この統一理論と強い力に対するSU(3)ゲージ群に基づくQCD理論をあわせて標準模型とよんでいる。さらに強い力と弱・電磁気力は1015~1016ギガ電子ボルト(GeV)という非常に高いエネルギーで大統一理論(GUT)に統一されるものと期待されている。またさらに、重力まで含めた四つの基本力を統一する「超ひも理論(Superstring Theory)」が現在追究されている。[植松恒夫]
『湯川秀樹・坂田昌一・武谷三男著『素粒子の探求――真理の場に立ちて』(1965・勁草書房) ▽小沼通二・中川昌美編『素粒子の弱い相互作用』(1972・日本物理学会) ▽小川修三・沢田昭二・中川昌美著『素粒子の複合模型』(1980・岩波書店) ▽西島和彦著『素粒子の統一理論に向かって』(1995・岩波書店) ▽牧二郎・林浩一著『素粒子物理』(1995・丸善) ▽南部陽一郎著『クォーク――素粒子物理はどこまで進んできたか』第2版(1998・講談社) ▽小林誠著『消えた反物質――素粒子物理が解く宇宙進化の謎』(1997・講談社) ▽パリティ編集委員会・大槻義彦編、益川敏英著『いま、もう一つの素粒子論入門』(1998・丸善) ▽長島順清著『素粒子物理学の基礎』全2冊(1998・朝倉書店) ▽原康夫・稲見武夫・青木健一郎著『素粒子物理学』(2000・朝倉書店) ▽戸塚洋二著『素粒子物理』(2000・岩波書店) ▽渡辺靖志著『素粒子物理入門――基本概念から最先端まで』(2002・培風館) ▽原康夫著『素粒子物理学』(2003・裳華房) ▽朝倉物理学大系編集委員会編『現代物理学の歴史1 素粒子・原子核・宇宙』(2004・朝倉書店) ▽江口徹・今村洋介著『岩波講座 物理の世界 素粒子と時空5 素粒子の超弦理論』(2005・岩波書店) ▽R・M・バーネット、H・ミューリー、H・R・クイン著、守谷昌代訳『クォークの不思議――素粒子物理学の神秘と革命』(2005・シュプリンガー・フェアラーク東京) ▽広瀬立成著『対称性から見た物質・素粒子・宇宙――鏡の不思議から超対称性理論へ』(2006・講談社) ▽相原博昭著『素粒子の物理』(2006・東京大学出版会) ▽湯川・朝永生誕百年企画展委員会編、佐藤文隆監修『素粒子の世界を拓く――湯川秀樹・朝永振一郎の人と時代』(2006・京都大学学術出版会) ▽村山斉著『宇宙に終わりはあるのか?――素粒子が解き明かす宇宙の歴史』(2010・ナノオプトニクス・エナジー出版局) ▽藤本順平著『小さい宇宙をつくる――本当にいちばんやさしい素粒子と宇宙のはなし』(2012・幻冬舎エデュケーション) ▽湯川秀樹・片山泰久・福留秀雄著『素粒子』2版(岩波新書) ▽リチャード・P・ファインマン、スティーブン・ワインバーグ著、小林郎訳『素粒子と物理法則――窮極の物理法則を求めて』(ちくま学芸文庫) ▽村山斉著『宇宙は何でできているのか――素粒子物理学で解く宇宙の謎』(幻冬舎新書) ▽大栗博司著『重力とは何か――アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』(幻冬舎新書)』

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