媒質(読み)ばいしつ(英語表記)medium

翻訳|medium

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

物体間に働く力には,途中の空間をへだてて直接に作用する遠隔作用と,近接した空間に順次影響を及ぼして遠くに作用が伝わる近接作用がある。後者の場合,作用が伝達される物質あるいは空間を媒質という。一般に音波は物質の中を伝わるので,その物質は波についての媒質である。電磁波の媒質としては,以前はエーテルの存在が仮定されたが,いろいろ問題があり,現在では空間そのものが媒質と考えられている。
媒体ともいう。生物を取巻く外囲,すなわち環境を物質としてみたときの言葉。陸生生物では,一般に空気が媒質であり,水生生物では水が媒質である。また細胞レベルでは体液などが媒質で,媒液ともいう。なお,mediumのは,微生物の培養液の意味,あるいは生化学実験での反応液の意味にも用いられる。

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百科事典マイペディアの解説

現代の物理学では,物体間の作用はすべて中間に存在する物質または空間を通じて順次に伝達される(近接作用)と考えるが,この物質または空間をその作用の媒質という。音の媒質は空気,電磁場や重力場の媒質は空間。→エーテル
→関連項目吸収(物理)連続体(物理)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

音波は空気や水を伝わり、地震波は地殻を伝わる。波がその中を伝わっていく物質を一般に媒質という。真空中の光波については、その媒質としてエーテルetherという弾性体が仮想されたが、マイケルソン‐モーリーの実験とアインシュタインの特殊相対性理論は、光波の媒質としてのエーテルの存在を否定するものである。

[飼沼芳郎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 力や波動などの物理的変化を伝える媒介物。音波などの弾性波では空気その他の弾性体、光などの電磁波では真空または物質。媒体。比喩的にも用いる。
※田園雑感(1921)〈寺田寅彦〉一「寒天のやうな濃厚な媒質を透し」

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世界大百科事典内の媒質の言及

【波動】より

…波動が伝わるためには,波動を伝える何かが必要である。その何かを媒質という。水面の波では水,音では空気が媒質である。…

※「媒質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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