媒質(読み)バイシツ

デジタル大辞泉 「媒質」の意味・読み・例文・類語

ばい‐しつ【媒質】

力や波動などの物理作用を他へ伝える仲介物となるもの。音を伝える空気、光を伝える空間など。

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精選版 日本国語大辞典 「媒質」の意味・読み・例文・類語

ばい‐しつ【媒質】

  1. 〘 名詞 〙 力や波動などの物理的変化を伝える媒介物。音波などの弾性波では空気その他の弾性体、光などの電磁波では真空または物質媒体。比喩的にも用いる。
    1. [初出の実例]「寒天のやうな濃厚な媒質を透し」(出典:田園雑感(1921)〈寺田寅彦〉一)

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百科事典マイペディア 「媒質」の意味・わかりやすい解説

媒質【ばいしつ】

現代物理学では,物体間の作用はすべて中間に存在する物質または空間を通じて順次に伝達される(近接作用)と考えるが,この物質または空間をその作用の媒質という。音の媒質は空気,電磁場重力場の媒質は空間。→エーテル
→関連項目吸収(物理)連続体(物理)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「媒質」の意味・わかりやすい解説

媒質
ばいしつ
medium

物体間に働く力には,途中の空間をへだてて直接に作用する遠隔作用と,近接した空間に順次影響を及ぼして遠くに作用が伝わる近接作用がある。後者の場合,作用が伝達される物質あるいは空間を媒質という。一般に音波は物質の中を伝わるので,その物質は音波についての媒質である。電磁波の媒質としては,以前はエーテルの存在が仮定されたが,いろいろ問題があり,現在では空間そのものが媒質と考えられている。

媒質
ばいしつ
medium

媒体ともいう。生物を取巻く外囲,すなわち環境を物質としてみたときの言葉。陸生生物では,一般に空気が媒質であり,水生生物では水が媒質である。また細胞レベルでは体液などが媒質で,媒液ともいう。なお,mediumの語は,微生物の培養液の意味,あるいは生化学実験での反応液の意味にも用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「媒質」の意味・わかりやすい解説

媒質
ばいしつ
medium

音波は空気や水を伝わり、地震波は地殻を伝わる。波がその中を伝わっていく物質を一般に媒質という。真空中の光波については、その媒質としてエーテルetherという弾性体が仮想されたが、マイケルソン‐モーリーの実験とアインシュタインの特殊相対性理論は、光波の媒質としてのエーテルの存在を否定するものである。

[飼沼芳郎]

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栄養・生化学辞典 「媒質」の解説

媒質

 →培養基

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世界大百科事典(旧版)内の媒質の言及

【波動】より

…波動が伝わるためには,波動を伝える何かが必要である。その何かを媒質という。水面の波では水,音では空気が媒質である。…

※「媒質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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