大学事典 「水産学部」の解説
水産学部
すいさんがくぶ
農学の中で,水産学に特化した学部。国立大学水産学部は地域性・研究海域も考慮して広域に配置されており,北海道大学,長崎大学,鹿児島大学に水産学部が設置されている。東京海洋大学(海洋科学部に再編),三重大学(生物資源学部に統合)のように関連学部に再編・統合された事例もある。大学設置基準により水産学または商船に関する学部には付属施設として練習船を置くものとされており,練習船を活用した長期海洋実習の実施等が教育上の大きな特色である。ただし,練習船の維持,職員の雇用は他の付属施設とは異なる対応が必要であり,水産学部が稀少な理由でもある。水産学は,伝統的には漁業生産・水産物加工等の分野で構成されており,漁業・水産企業に関わる人材養成と密接に関わってきた。また,高等学校教員養成のための水産教員養成課程も設置されていたが,水産に関わる専門高校の減少に伴い漸次改編されている。近年は環境問題への関心の高まりや生産技術革新に対応して,水産生物,水産化学といった分野が拡充されており,卒業生の進路も多様化している。2016(平成28)年度全国水産・海洋系学部等協議会会員校は,農学部の水産系学科も含め19校(国立13,公立1,私立4,大学校1)。
著者: 奥山洋一郎
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報