山川 日本史小辞典 改訂新版 「江田船山古墳出土大刀」の解説
江田船山古墳出土大刀
えたふなやまこふんしゅつどたち
熊本県和水(なごみ)町の江田船山古墳(国史跡)出土の有銘大刀。古墳は古墳中期の前方後円墳。大刀は1873年(明治6)に金銅製冠や沓(くつ)・耳飾など豪華な副葬品とともに発掘された。鉄製で長さ90.7cm,鉄刀の刀背部に銀象嵌(ぞうがん)で75文字の銘文が刻まれている。銘文冒頭の「□□□鹵大王」は稲荷山鉄剣の発見により,「加多支鹵」(ワカタケル=雄略天皇)であるとする考え方が有力となった。典曹人(てんそうじん)(文官)である无利弖(むりて)が四尺廷刀を作ったという由来が記される。稲荷山鉄剣銘と類似の表現が多くみられ,大和政権が東から西までその勢力を及ぼしつつあった状況がうかがわれる。東京国立博物館蔵。国宝。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報