日本大百科全書(ニッポニカ) 「流エキス剤」の意味・わかりやすい解説
流エキス剤
りゅうえきすざい
fluidextracts
生薬(しょうやく)の浸出液で、通例その1ミリリットル中に生薬1グラム中の可溶成分を含むように製したものと、日本薬局方では定義されている。パーコレーション法でつくられる。生薬をそのまま、あるいは浸剤、煎(せん)剤として投与するよりもずっと便利であり、古くからこの剤形が存在した。かつては流動エキスとよばれたことがある。日本薬局方にはウワウルシ流エキス、キキョウ流エキス、コンズランゴ流エキスの三品目が収載されているが、浸剤や煎剤の処方がきわめて少なくなった今日、これら流エキス剤の使用も減少の一途をたどってきた。しかし、製剤原料としての流エキス剤は、漢方ブームとともにまだ多く用いられている。
[幸保文治]