生薬(しょうやく)類の投与法の一つで、去痰剤(きょたんざい)としてのセネガ煎など、かつてはよく用いられた古い剤形である。日本薬局方では浸剤とあわせて浸剤・煎剤と称し、ともに生薬を精製水で浸出して製した液剤で、酷似した剤形である。生薬の種類や抽出成分の性質によって浸出時間、温度、布漉(ぬのご)し温度を変えて区別しているが、実際の調製法は各生薬によって画一的にはならず、その区別はかならずしも明確とはいえない。煎剤は、生薬を適当な大きさに切り、50グラムを煎剤器に入れ、精製水950ミリリットルを加え、数回かき混ぜながら30分間加熱したのち、温時に布漉しをして、これにさらに適量の精製水を生薬を通して加え、全量を1000ミリリットルとしたものである。
なお、煎剤は一般に煎じ薬ともよばれるが、薬局方でいう煎剤は規定された一つの剤形であって単一の生薬を対象とするものであり、漢方薬のように処方された数種類の生薬を用いたものや民間薬のような煎じ薬とは異なっている。最近は製剤技術の進歩によってエキス剤や錠剤などが繁用され、また漢方薬でも、生薬を布袋などに入れて一包とし、服用時に煎じる剤形(茶剤)や成分抽出物を顆粒(かりゅう)化した製剤に温湯を注いで服用する形式などが一般化してきたため、一部の漢方処方を除き、この剤形はほとんど使用されなくなった。
[幸保文治]
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