精選版 日本国語大辞典 「一途」の意味・読み・例文・類語
いっ‐と【一途】
〘名〙
① (「一筋の道」の意から) それしかないと思われる一つの方針、方法。また、その決定。
※近衛家本追加‐弘安七年(1284)八月一七日「引付勘録事、止二二途三途一、可レ勘二申一途一」
※帝都復興に関する詔書‐大正一二年(1923)九月一二日「只速に人事を尽して民心を安定するの一途あるのみ」 〔劉峻‐弁命論〕
② 二つ以上のものが一致すること。一つにまとまること。
※三島社文書‐応永七年(1400)六月一五日・源満兼願文「然依二輔佐之遠慮一有二和睦之一途一」
③ ただ一つの方向。
※歩兵操典(1928)綱領「難局を打開し戦捷の一途に邁進するを要す」
いち‐ず ‥ヅ【一途】
〘名〙
① 一つの方法。特に仏語としては、悟りを求める一つの方法。
※三十四箇事書(1250頃)「但於二理即位一妙覚仏成道云事、実一途教門也」 〔安楽集‐上〕
② (形動) 他のことを顧みないで、一つの方針または事柄に向かってゆくこと。また、その方針や事柄、およびそのさま。
※太平記(14C後)二「各死罪に行はるべしと評定一途(ヅ)に定て」
※浄瑠璃・松風村雨束帯鑑(1707頃)二「松風を助んと、一づにしあんきわめしが」
※多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「分別も用捨も何も無く、一図の悲歎に沈むで」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報