渭水聞見録(読み)いすいぶんけんろく

日本歴史地名大系 「渭水聞見録」の解説

渭水聞見録
いすいぶんけんろく

四冊 増田立軒著

成立 元文元年

写本 徳島県立図書館所蔵呉郷文庫ほか

解説 著者の増田立軒は徳島藩儒増田氏初代。五代徳島藩主蜂須賀綱矩に一五石七人扶持で召出され、藩主ならびに世子の侍読として仕えた。内容は藩主を中心とする徳島藩の編年史で、家祖蜂須賀正勝の父正利の時代の大永元年から六代藩主宗員の享保二〇年までの蜂須賀氏九代二一〇余年間の藩史が漢文体で記されている。巻一は蜂須賀正利および平島公方の事績から筆を起こし、正勝・家政二代の事績を関ヶ原の合戦まで記す。家政が石田三成との不和から徳川家康に味方するに至る経緯が詳述されている。巻二は初代藩主至鎮の大坂の陣における奮戦の様子を中心に、至鎮や家康の言動がいきいきと記されている。巻三は忠英・光隆・綱通の三代の事績に「蓬庵公遺事」一三条を併録。幼君忠英と祖父であり後見役の家政(蓬庵公)の交流を記す。巻四は綱矩・宗員の二代記。この二代は立軒が儒者として近侍した時期にあたり、巻末の「宗員公遺事」の論語問答の記事から立軒の侍読の様子をうかがい知ることができる。

活字本 「訳注渭水聞見録」

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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