岐阜県南西部,不破郡の町。人口8096(2010)。北に伊吹山地,南に養老山地が迫る山間の町で,東は滋賀県に接する。古くから交通・軍事の要衝として栄え,現在もJR東海道本線,東海道新幹線,名神高速道路,国道21号,365号線などの重要路線が町内を通るが,冬季しばしば降雪で悩まされる。町域の多くが揖斐(いび)関ヶ原養老国定公園,伊吹山県立自然公園に属し,国史跡の関ヶ原古戦場,伊吹山ドライブウェーなどがあって,数多くの史跡と自然を生かした観光産業が町の重要な産業となっている。石材,機械,繊維などの工業も立地する。今須地区は杉,ヒノキなどの良質材を産する。
執筆者:上田 雅子
中世は関ヶ原郷,近世は関ヶ原村と称し,中山道の宿駅であった。交通・軍事上の要地で,古代三関の一つ不破関があり,壬申の乱のおり,野上に大海人皇子の行宮(あんぐう)が営まれ,不破関が固められた。1600年(慶長5)には関ヶ原の戦が展開された。南北朝時代は昭慶門院領の国衙領,のち久我家領となり,江戸時代は旗本竹中氏の采地であった。中山道の宿駅で,北国街道と伊勢街道の分岐点にあたり,米原と濃州三湊,大垣湊を結ぶ九里半街道の要地として,旅籠屋や問屋が多く,町並みが発達した。1703年(元禄16)には東西12町49間,戸口は347軒,1252人,1871年(明治4)には473軒,2014人であった。
執筆者:高牧 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
岐阜県南西端、不破郡(ふわぐん)にある町。1928年(昭和3)町制施行。1954年今須(います)、玉の2村、岩手村の一部と合併。地名は不破関(ふわのせき)にちなむといわれる。壬申(じんしん)の乱や関ヶ原の合戦場として知られる。伊吹(いぶき)、鈴鹿(すずか)の両山地が南北から迫る地峡部に位置し、交通の要地であり、国道21号、365号、名神高速道路(関ヶ原インターチェンジがある)、JR東海道本線、東海道新幹線などが集中しながら通過している。町並みはかつての中山道(なかせんどう)(国道21号)に沿って発達し、不破の関跡(県指定史跡)、関ヶ原古戦場(国指定史跡)があり、揖斐(いび)から養老へ連なる揖斐関ヶ原養老国定公園に含まれる。伊吹山へはドライブウェーが通じている。工業では石材、一般機械、繊維、車両部品などの工場がある。西部の今須地区のスギ、ヒノキの人工林では、枝打ち、下刈りなどの撫育(ぶいく)が行き届いた択伐(たくばつ)林業が発達し、良材を産する。文化・観光施設に関ヶ原ウォーランドやエコミュージアム関ヶ原、関ヶ原町歴史民俗学習館などがある。面積49.28平方キロメートル(境界は一部未定)、人口6610(2020)。
[上島正徳]
『『関ヶ原町史』全5巻(1978~1993・関ヶ原町)』
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出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…美濃国(岐阜県)不破郡の地名。中世には今須(居益)郷,近世には今須村,中山道今須宿,現在は関ヶ原町の大字。室町時代長江氏がこの地に勢力を有し,重景が母の菩提のため妙応寺を建て,1442年(嘉吉2)元景らが仏田を寄進している。…
※「関ヶ原」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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