朝日日本歴史人物事典 「漆部伊波」の解説
漆部伊波
奈良時代の官人。相模国(神奈川県)の出身か。天平20(748)年東大寺大仏殿建立に知識物として商布2万端を寄進し,従七位上から外従五位下に叙せられ,中央官人として活躍する足がかりを得た。天平宝字4(760)年ごろ,摂津国西生郡(大阪市)に土地を所有しており,すでに畿内に基盤を築いていたか。佐渡守,贓贖正 を歴任したのち,藤原仲麻呂の乱(764)平定に功があり,従五位下勲六等に叙せられた。乱後は右兵衛佐,大和介,修理次官,玄蕃助,鼓吹正,尾張守などを歴任し,この間,神護景雲2(768)年には相模宿禰の姓を賜り,相模国国造に任じられ,故郷に錦を飾った。
(森公章)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報