日本大百科全書(ニッポニカ) 「炭化水銀」の意味・わかりやすい解説
炭化水銀
たんかすいぎん
mercury carbide
アセチレンの水銀塩に相当するもの。水銀アセチリドともいう。一価および二価水銀の化合物が知られている。
(1)炭化水銀(Ⅰ) 化学式Hg2C2・H2O、式量443.22。酢酸水銀(Ⅰ)Hg2(CH3COO)2を水に懸濁させておいてアセチレンを通じて得られる無色の粉末。爆発性はなく、100℃に熱すると分解する。無水和物は得られない。
(2)炭化水銀(Ⅱ) 化学式HgC2、式量224.6。比重5.3。ヨウ化水銀(Ⅱ)カリウムK2HgI4のアルカリ溶液にアセチレンを通ずれば3HgC2・H2Oの白色沈殿を生ずる。これを脱水すると無水和物になる。乾燥するときわめて不安定で、摩擦その他で激しく爆発する。水、アルカリに不溶である。酸で加水分解してアセチレンと少量のアセトアルデヒドを生ずる。
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