アセトアルデヒド(読み)あせとあるでひど(英語表記)acetaldehyde

翻訳|acetaldehyde

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アセトアルデヒド」の意味・わかりやすい解説

アセトアルデヒド
あせとあるでひど
acetaldehyde

代表的な脂肪族アルデヒドで、エタナールとも、単にアルデヒドともいう。

 パラアルデヒド希硫酸を加え、加熱すると得られる。以前は、水銀塩を触媒として、希硫酸の中でアセチレンに水を付加させて製造していたが、この製造過程で有害な廃棄物を生ずるので、現在は行われていない。塩化パラジウムを触媒としてエチレンを直接酸化してアセトアルデヒドをつくるヘキスト‐ワッカー法が広く行われている。無色の揮発性に富む液体で、強い刺激臭をもつ。酸化されて酢酸になりやすいので、還元性が強く銀鏡反応フェーリング液の還元などの反応を示す。重合をおこしやすく、低温で塩化水素が存在するとメタアルデヒドになり、低温で硫酸を作用させるとパラアルデヒドを生成する。カキの実の渋味がとれるのは無気呼吸により果実の中にアセトアルデヒドが生成し、これがタンニンの重合をおこさせることによるといわれる。また、アルコール飲料を摂取すると、エタノールエチルアルコール)は酸化されて体内で二酸化炭素(炭酸ガス)と水とになるが、中間物としてアセトアルデヒドを生じ、それが酒酔いの原因であるとされている。多数の有機化学工業製品の原料となるほかプラスチック合成ゴムの中間原料にもなる。このほか防腐剤や還元剤としても使われる。

[廣田 穰]



アセトアルデヒド(データノート)
あせとあるでひどでーたのーと

アセトアルデヒド
  CH3CHO
 分子式  C2H4O
 分子量  44.05
 融点   -123.5℃
 沸点   20.2℃
 比重   0.8501(測定温度20℃)
 屈折率  (n)1.3437

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アセトアルデヒド」の意味・わかりやすい解説

アセトアルデヒド
acetaldehyde

化学式 CH3CHO 。無色の液体で沸点 21℃。水,エチルアルコール,エーテルとよく混る。工業原料として重要であるので,水銀塩存在下でアセチレンと水との反応により大量につくられる。酸化すれば酢酸となる。濃硫酸を1滴加えると激しく反応し,パラアルデヒドとなる。またアルドール縮合によりブチルアルコールやペンタエリスリトールなどの溶媒とすることもできる。無気呼吸によって果実中に生じ,柿のタンニンの重合を起させる。

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