改訂新版 世界大百科事典 「無限積」の意味・わかりやすい解説
無限積 (むげんせき)
infinite product
無限乗積ともいう。{an}を与えられた数列とし,いずれも0でないとする。形式的な積a1a2a3……を無限積といい,またはПanと書く。最初のn項の積pn=a1a2……anを第n部分積という。数列{pn}が0でない極限値pに収束するときには,初めの無限積はpに収束するといい,Пan=pと書く。{pn}が収束しないか,または0に収束するとき,無限積は発散するという。Пanが収束すればan→1であるが,逆は成立しない。無限積は,その項を1+an(an→0)と書いてП(1+an)の形で扱うのが便利である。П(1+an)とΣlog(1+an)とは同時に収束または発散する。an≧0ならばП(1+an)とΣanとは同時に収束または発散する。無限積П(1+|an|)が収束するとき,П(1+an)は絶対収束するという。絶対収束する無限積の値は項の順序に関係しない。無限積の公式,
などは有名である。
→無限級数
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報