物尽し(読み)モノヅクシ

デジタル大辞泉 「物尽し」の意味・読み・例文・類語

もの‐づくし【物尽(く)し】

歌謡などで、同じ種類の物を列挙すること。「花づくし」「国づくし」など。ものはづくし。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「物尽し」の意味・読み・例文・類語

もの‐づくし【物尽】

  1. 〘 名詞 〙 同じ種類の物を列挙すること。花づくし、国づくしなどの類。ものはづくし。
    1. [初出の実例]「しほらしき物つくしちょろ木かいわりな」(出典:俳諧・常盤屋の句合(1680)四番)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「物尽し」の意味・わかりやすい解説

物尽し
ものづくし

(1) 一つの標題を掲げてその同類を数多く列挙する文章表現。「ものはづくし」ともいう。清少納言の『枕草子』で「山は…」「野は…」「東は…」などとあるように「何々は…」という表現がその代表的な例。今様 (いまよう) ,宴曲などの歌謡の詞章に多く用いられ,また近世浄瑠璃祭文などにもこの例が多い。 (2) 邦楽曲の一分類。「尽し物」ともいう。同類のものを列挙していく歌詞の楽曲をいう。地歌の長歌物に多く,『桜尽し』『香尽し』などのように列挙した主題をそのまま曲名としたもの。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の物尽しの言及

【名寄】より

…一般に人や物や所などの名をある類別に従って集め記したものをいう。《枕草子》《尤草紙(もつとものそうし)》や,歌謡などに見られる〈物づくし〉〈物ぞろえ〉に形式的には類似するが,名寄は,ある分野の名称についての知識を集成するという目的で作られ,実用的なものが通常であると思われる。歌枕を集めた書に,《歌枕名寄》,《大名寄》(《類字名所和歌集》),《小名寄》(《名所類字和歌》)などの称があり,また,能狂言の曲名を列記したものを能名寄,謡名寄,狂言名寄などといい,《旧謡いろは名寄》《謡名寄》などの書名のものがある。…

※「物尽し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

タコノキ

タコノキ科の常緑高木。小笠原諸島に特産する。幹は直立して太い枝をまばらに斜上し,下部には多数の太い気根がある。葉は幹の頂上に密生し,長さ1〜2m,幅約7cmで,先は細くとがり,縁には鋭い鋸歯(きょし)...

タコノキの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android