特定看護師(仮称)(読み)とくていかんごし(かしょう)

知恵蔵 「特定看護師(仮称)」の解説

特定看護師(仮称)

厚生労働省創設を検討している、従来看護師よりも幅広い医療行為ができる新しい資格のこと。医師の「包括的指示(患者さんに関する処置投薬などの対応をあらかじめ一定の範囲で認めておく医師の事前指示)」のもと、侵襲性の高い特定の医行為を担うとされている。
高齢化や在宅医療増加などにより、医療的な視点だけでなく、療養生活の支援といった視点が必要となる業務が増加しており、ケアの専門家としての看護師が果たしうる役割が大きくなっている。こうした状況から、看護師の役割の拡大が検討されてきた。そのための新たな枠組みとして提唱されたのが、特定看護師である。
特定看護師が行うことができるとされる「特定の医行為」とは、動脈血ガス測定のための採血エコーの実施、エコー・胸部単純X線撮影・CT・MRIなどの実施時期の判断、読影の補助などの検査や、人工呼吸器装着中の患者のウイニング(離脱)・気管内挿管・抜管、創部ドレーンの抜去、深部に及ばない創部の切開、縫合などの創傷処置、褥瘡(じょくそう)の壊死(えし)組織のデブリードマン(除去・清浄化)などの処置、疼痛(とうつう)や発熱脱水便通異常・不眠などへの薬剤の選択や使用、副作用出現時や症状改善時の薬剤の変更・中止などが例示されている。
特定看護師の要件としては、(1)看護師免許を保有していること、(2)看護師としての一定期間以上の実務経験があること、(3)特定看護師の養成を目的とした過程として第三者機関が認定した大学院修士課程を修了したこと、(4)修士課程終了後に第三者機関による知識・能力の確認・評価を受けたこと、のすべてを満たすべきとされている。
特定看護師の創設は、現在厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」で検討されており、同省では、10年度からモデル事業を実施する方針である。

(星野美穂  フリーライター / 2010年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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