医療的な場面で用いられる場合、生体の内部環境に対して変化をもたらす刺激や行為全般、あるいは、患者にとって痛みや苦痛などの負担を伴う医療行為(手術や薬の投与、検査など)全般をさす。
人間の身体は、外部環境が変化しても身体内部の環境の変化をある範囲内におさえ、内部環境をなるべく一定に維持しようとする生理作用があり、これを「恒常性(ホメオスタシス)」という。侵襲を受けた場合にも、通常は神経系や免疫機能、代謝、内分泌系などがもつ恒常性により、生体内の変化を最小限にとどめようとする生体反応が生じる。このような生体反応があるとはいえ、医療行為においては、その目的以外の、生体にとって害となる侵襲は少ないことが望ましい。この侵襲の度合いをできる限り低くする治療のことを「低侵襲治療(低侵襲医療)」という。たとえば、外科的な手術よりも内視鏡やカテーテルなど、身体に対する侵襲度が低い医療機器を用いた診断方法や治療が行われることで、患者は身体的・心理的負担が減る。身体的な負担が少ない分、回復も早いといえることから、より侵襲度の低い医療機器や検査方法、手法などの開発が日々進められている。
[横山美樹 2022年9月21日]
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