日本大百科全書(ニッポニカ) 「田園類説」の意味・わかりやすい解説
田園類説
でんえんるいせつ
江戸時代中期に成立した地方書(じかたしょ)の一つ。著者は、勘定吟味(かんじょうぎんみ)役辻(つじ)六郎左衛門の次男で、勘定組頭小宮山友右衛門(こみやまともえもん)の養子に入った小宮山昌世(しょうせい)(杢之進(もくのしん))。享保(きょうほう)年間(1716~36)に代官を勤め、地方支配に精通した著者が、農政・民政の手引書として著したのが本書である。本書の増補校訂本が一般に利用されているが、増補者の谷本教(もとのり)、大石久敬(ひさたか)はそれぞれ『県令須知(すうち)』、『地方凡例録(じかたはんれいろく)』の著者として名高い。また増補校訂者の山内董正(やまのうちただまさ)は幕末期に下野(しもつけ)国(栃木県)真岡(もおか)代官となった人物である。本書は、検地之事(けんちのこと)、石盛(こくもり)之事、根取(ねどり)之事、厘附(りんつけ)之事など田制、租法に関する事項21項目と、付録としてその細部19項目の計40項目から構成されている。瀧本(たきもと)誠一編『日本経済大典』第13巻、同編『日本経済叢書(そうしょ)』第八巻所収。
[飯島千秋]