留保制度(読み)りゅうほせいど

百科事典マイペディア 「留保制度」の意味・わかりやすい解説

留保制度【りゅうほせいど】

インド憲法に基づく,社会的弱者への優遇制度。社会経済的に後進であるとされる,指定カースト指定部族の人々を対象として,高等教育機関への入学許可数・公的雇用数・各種議会での議席数などを人口比で一定の数値まで優遇する制度。指定カーストと指定部族に加えて,州や地方自治体が〈その他の後進諸階級〉として一定枠を設ける場合もある。この制度は,対象となる各集団の社会進出の促進を目的とする。1960年代以降は資格・試験の基準緩和や優遇政策の昇進に対する適用などにより,留保枠の充足率は上昇した。さらに,留保枠の拡大を求める最下層の人々の運動も活発化している。〈その他の後進階級〉も留保の対象とされることは留保率が高率化し,南インドでは総枠で60%を大きく超える留保も行われる州もある。このような状況の中,上級職雇用や高等教育での上級カーストの地位低下を招き,一般国民の人権行政の効率性を阻害しカーストを公的に追認するものであるとする留保制度批判も強く,激しい反留保運動も展開されている。
→関連項目インド

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