改訂新版 世界大百科事典 「発根剤」の意味・わかりやすい解説
発根剤 (はっこんざい)
挿木,挿芽を行う際に,発根を促進する薬剤。植物ホルモンであるオーキシン(インドール-3-酢酸,略称IAA)は20ppmの濃度で,植物の茎や芽などの切片に不定根を誘導する活性をもつ。同じような活性は,多数の合成オーキシン類にも認められ,これらは発根剤として実用化されている。日本で農薬として登録されている発根剤は,インドール酪酸,α-ナフチルアセトアミド(商品名ルートン),5-クロロ-1H-3-インダゾリル酢酸塩剤(一般名エチクロゼート,商品名ルチエース,フィガロン),過酸化カルシウム(商品名カルパー),イソプロチオラン(商品名フヂワン,殺菌剤)などで,登録からははずれているが,α-ナフタレン酢酸がある。これら薬剤のほか,キク科の植物からヘリアンジン,ピレスロシン,クリサンテミン,マツバボタンからポルチュラールなどテルペノイド系化合物が発根促進物質として単離されている。
→植物生長調節剤
執筆者:高橋 信孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報