真空含浸装置(読み)シンクウガンシンソウチ

化学辞典 第2版 「真空含浸装置」の解説

真空含浸装置
シンクウガンシンソウチ
vacuum impregnation equipment

真空含浸装置に必要な条件は,含浸槽内で,まず被含浸体が含浸剤を受け入れやすい状態にすることのできる機構が備わっていること,次に含浸剤をもっとも含浸されやすい状態で含浸タンクに送り込む機構があること,最後に含浸剤が含浸されたのち,化学反応あるいは物理的処理によって被含浸体のなかに固定されるための機構を備えていることが要求される.一般に,真空含浸の操作は被含浸体を槽内に入れ,槽を真空にすることで被含浸体の空げき中の水分および吸着ガスなどを必要があれば加熱して取り除き,一方,含浸剤にもあらかじめ十分真空脱ガス,脱水をしたものを真空を破らずに含浸槽内に導入し,被含浸体の空げきの深くまで浸透させる作業である.含浸剤としては,種々のガス,液体および固体が用いられるが,固体の場合は溶融して用いるほか,溶媒に溶かして用いる場合もある.いずれの場合にも細孔に浸透しやすくするために,加温して粘度を下げることが効果を高める.さらに,含浸剤をより深くまで浸み込ませるために,含浸の最後の段階で真空タンク内に1 atm(101 kPa)以上の不活性ガスを導入することもある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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