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真空 しんくう

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美術人名辞典の解説

真空

菩提院僧正。

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デジタル大辞泉の解説

しん‐くう【真空】

工学的、技術的に周囲に比べて十分圧力が低い状態。物質が全く存在しない空間は完全真空という。
実質のないからっぽの状態。また、働きや活動が停止し、外部からの影響・作用なども全く及んでいない状態。「頭が真空になる」「真空地帯」
仏語。一切の現象を空(くう)であり無であると観じた、そうした空さえも超えた空。宇宙万物の本体である真如(しんにょ)の姿。

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百科事典マイペディアの解説

真空【しんくう】

(1)技術上はふつう気体の圧力が数mmHg(水銀柱メートル)以下の空間。真空ポンプを用いて作り,真空度(残留気体の圧力)は真空計により測る。現在達成できる最高の真空度は10(-/)12mmHg程度。
→関連項目真空管マクデブルク半球

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世界大百科事典 第2版の解説

しんくう【真空 vacuum】

何ものも存在しない空間。例えば仏教的な概念系の中では,空間概念に相当する虚空ākāśaはむしろ真空である。もちろんそれは真空のことばが運びがちな科学的な文脈での意味とは無縁であるが,虚空とは,事物が生起し,運動するための空間的余地という意味合いを含んでいる。その意味では,現実のこの世からは一歩退いた無為の(つまり人間とのかかわりを直接的にはもたない)領域に属するといえる。機能的にはよく似たとらえ方がギリシアの原子論にある。

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大辞林 第三版の解説

しんくう【真空】

物質が全く存在しない空間。人為的には作り出せず、実際はごく低圧の状態をいう。宇宙空間もほとんど完全な真空に近いが、それでも微量の星間物質が存する。
ある働きが行われない状態。空白。 「 -地帯」
〘仏〙
あらゆる存在の個別的な特徴をすべて完全に乗りこえ否定してしまった状態。大乗仏教では、否定に偏った「小乗的」見解とする。
大乗仏教における存在の究極的な理解。妙有に対して、非空の空である真実の空。あらゆる事物は本質をもたず、因縁による仮の現象として存在すること。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

真空
しんくう
vacuum

(1) 厳密には物質がまったく存在しない空虚な空間を意味するが,現実には完全な真空をつくることは技術的に不可能であって,普通は程度の高い減圧状態を真空という。現在,実現しうる最高度の真空は 10-15 Torr程度で,1cm3あたり約 35個の分子を含む。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

真空
しんくう
vacuum

物質がまったく存在しない空間をいう。理論物理学で取り扱われる真空については、次の章で述べる。普通、技術用語で真空といえば、一定の容器内の気体を排気して得られる高度の減圧状態をさす。真空度は残留気体の示す圧力で表される。圧力の国際単位は1平方メートル(m2)当りの力ニュートン(N)、すなわちN/m2であり、パスカル(Pa)と名づけられている。標準の大気圧は10万1325パスカル(1013.25ヘクトパスカル、単位hPa)である。真空度の実用的な単位としては、1ミリメートルの水銀柱を支える気圧水銀柱ミリメートル(mmHg)を使い、これをトル(Torr)とよぶ。1トル=133.322パスカルである。1960年ごろから、質の良い真空状態を作成したり測定したりする技術は急速に進歩・普及し、理工学の研究ばかりでなく、真空冶金(やきん)、真空蒸留、固体電子工業、高品質の材料製造など、多くのハイテク工業にとって、不可欠の技術となった。超高真空・極高真空(10-8~10-12パスカル)をつくるには、ターボ分子ポンプ、スパッタイオンポンプ、クライオポンプなどが、液体ヘリウムなどの冷媒を使うコールド・トラップと組み合わせて用いられる。この際、真空容器を高温に熱して、容器内面に吸着・吸蔵している水分子・水素分子などを脱着させる方法(ベークアウト)が不可欠である。また真空容器内面の分子レベルでの清浄化が重要であるといわれる。超高真空・極高真空の真空度計測には特殊な型の電離型真空計や残留気体の質量分析計が種々開発されている。2002年現在、実験室で到達された最高の真空は10-12パスカル程度といわれるが、このような真空状態での残留気体の分子数は1立方センチメートル中に数百個程度である。[鈴木 洋]

真空の物理学

それでは、残留気体がゼロの空間はどういう性質をもっているだろうか。電磁気学の創設者マクスウェルや電波の発見者ヘルツらも電磁波(光や電波)を伝える媒質としてなんらかの物質(エーテル)の存在を信じていた。エーテルの存在が否定され、真空の物理学的意味が明らかにされるようになったのは、アインシュタインの相対性理論以後のことである。真空が電場や磁場の担い手としての働きをその本性としてもつものであることは量子力学的場の理論の発展とともにしだいに明らかになった。ディラックは相対論的量子力学を建設する途上で、真空とは負エネルギーの電子によって完全に占められた状態と解釈する必要に迫られた(1928)。この解釈を推し進めると、もしγ(ガンマ)線などエネルギーの高い電磁波の作用によって負エネルギーの電子が正のエネルギー状態にあげられると、真空に電子の孔(あな)ができる。この孔は電子の反粒子=陽電子と考えられる。すなわち、γ線によって電子と陽電子の対(つい)がつくられる現象(電子対生成)が予想される。対生成はディラックの予言の5年後にアンダーソンによって宇宙線の霧箱による飛跡の中で初めて観測された。対生成のような実過程がおこるとき以外でも、不確定性原理のために真空中では仮想電子と仮想陽電子の対がごく短時間のスケールで絶えず発生と消滅を繰り返している。このため真空の中に実際の電子が置かれると、その周りでは仮想陽電子は電子に引き寄せられ、仮想電子は電子から反発され、そのため真空中の仮想的な電子と陽電子にずれが生じ、真空にゆがみを引き起こす。これを真空分極とよぶ。電磁量子力学では、真空分極による効果を適切に取り扱うことにより電子の有効電荷、異常磁気モーメントおよび水素原子スペクトルのラム・シフトなどの厳密な計算に成功した(朝永(ともなが)‐シュウィンガーのくりこみ理論)。
 1960年代後半ごろから発展した量子クロモ力学では、真空は負エネルギーのすべての基本粒子(クォークとレプトン)で満たされた状態と考えられる。真空中では仮想粒子と仮想反粒子が生成・消滅を繰り返しているが、条件によっては粒子・反粒子の対がそのまま凝縮した状態(異常真空)に移るほうが安定になることが考えられる。大統一理論によると、宇宙創成の初期におこった数段階の真空の相転移が、現在知られている4通りの基本的な力(電磁力、弱い相互作用、強い相互作用および万有引力)と素粒子の生成に基本的な役割をしたとされる。宇宙創成時の真空の本性の進化が、現在の物質の究極構造と密接な関係にあることはまことに興味深い。[鈴木 洋]

原子と真空

古代以来、真空の概念は原子論と不可分であった。古代ギリシアの原子論者デモクリトスは、世界は空虚の中を運動する無数の微小な原子からなるとして、空虚の存在は原子の存在と同じく確かなものと考えた。一方で、原子論を拒否して物質を連続体と考えたアリストテレスは、空虚の存在を不合理なものとして否定した。アレクサンドリアの科学者のなかには原子論を受け継ぎ、気体の実験的研究を行う者もあったが、アリストテレスの学問的権威は近代までのおよそ2000年の間、原子と真空を自然学の世界から追放した。中世のスコラ哲学では、自然において真空はありえないものとされ、大気圧によるさまざまな現象は「自然は真空を嫌悪する」ということばによって説明されたのである。[内田正夫]

真空の実証

スコラ哲学を批判し、近代科学を準備した16、17世紀の人々によって古代の原子論は復活された。けれども、彼らの議論ももっぱら思弁に頼ったもので、原子相互間の微小な真空は存在するというものの、感覚でとらえることのできる大きな真空がありうるとは思われなかった。また、デカルトのように、あらゆる空間は微細な粒子で満たされているとして、真空を認めない者もあった。彼は物体の本質は幾何学的延長にあると考え、粒子は無限に分割可能であるとした。
 このような思弁的議論にとらわれず、初めて実際に真空をつくってみせたのが、ガリレイの弟子のトリチェリであった。彼は1643年に有名な「トリチェリの実験」を行い、真空の存在と大気圧の作用を明らかにした。トリチェリの見解は、数年後、フランスのパスカルによっていっそう十分に証明された。彼らとは別に、ドイツのゲーリケは、1650年ごろ、真空ポンプを製作して、青銅やガラス製の中空の球を排気することに成功した。このポンプは、トリチェリの方法によらなくとも自由に真空がつくりだせる新機械であった。彼は有名な「マクデブルクの半球実験」によって大気圧の強さを示したり、真空中での燃焼、音の伝播(でんぱ)、小動物の呼吸などを調べた。これらの実験は広く伝えられ、17世紀なかば過ぎには真空実験は一つの流行となった。こうして、空気の排除された空間としての真空の存在は疑いようのないものとなったのである。[内田正夫]

高真空と現代物理学

ゲーリケのタイプの真空ポンプはさまざまな改良を加えられて、18世紀には科学実験室に普通の設備となった。その真空度はせいぜい1~10-1mmHg程度であったと考えられるが、19世紀後半以後、ガイスラーやシュプレンゲルHermann Sprengel(1834―1900)らによって水銀を用いた効率のよい真空ポンプが考案され、10-4mmHgを超える高真空が得られるようになった。これらのポンプは真空放電の研究に利用されたもので、やがて白熱電球からエジソン効果の発見、陰極線の研究からX線の発見がもたらされた。さらに1904年に発明された真空管は、20世紀のエレクトロニクスの展開の端緒となった。
 20世紀には拡散ポンプによっていっそうの高真空が得られるようになり、その技術は粒子加速器などの現代物理学の実験手段を支える基礎となっている。また、真空冶金、真空蒸着、真空蒸留などの技術的応用も広く行われるようになった。[内田正夫]
『T. A. Delchar著、石川和雄訳『真空技術とその物理』(1995・丸善) ▽日本真空工業会編『真空用語事典』(2001・工業調査会) ▽小宮宗治著『わかりやすい真空技術』(2002・オーム社) ▽飯島徹穂著『真空のおはなし』(2003・日本規格協会) ▽広瀬立成著『真空とはなんだろう――無限に豊かなその素顔』(講談社・ブルーバックス)』

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世界大百科事典内の真空の言及

【空孔理論】より

…また水素原子は電子が電磁場と相互作用してたちまち負エネルギーの準位におちてしまうから安定に存在することができないことになる。空孔理論は,こうした困難を避けるためにディラックが30年に提出したもので,われわれが真空と呼ぶものは空虚ではなく,すべての負エネルギー準位に電子が充満して〈負エネルギー電子の海〉ができている状態だとする。そこに正エネルギーの電子がきても,これはフェルミ粒子だからパウリの原理に縛られて,すでに占拠されている負エネルギー状態に落ちることはできない。…

【真空計】より

…真空計は真空の程度(真空度)を測る計器であるが,真空度は気体の圧力で表示することになっているので,JISでは,真空計を〈大気圧より低い気体・蒸気の圧力を測定する計器〉と定義している。真空といっても,物理的あるいは工学的には,物質のまったく存在しない空間は実現できていない。…

【トリチェリ】より

…44年には,生存中に出されたたった一つの著書《幾何学的著作集》が出版されている。幾何学のほかにも,投射物体や流体の研究があるが,とくに有名なのは真空についての実験である。吸上げポンプ中でなぜ水が約9m以上昇らないのかという疑問に対し,ガリレイは,真空自身が物体の分離に抵抗する力をもつものとして,そのポンプ中の水柱の重さがちょうどその真空の抵抗力と等しいとし,それ以上高い水柱は自分の過分の重さのために切断してしまうのだと説明していた。…

【パスカル】より

…そこでパスカルは父の徴税業務を軽減する目的でおそらく史上初の計算機を考案製作した。また真空に関するトリチェリの実験の報が伝えられると,当時学界で論議の的であった真空の存在を確証するために種々の実験を試み,〈トリチェリの真空〉が大気の重さ,さらに一般的には流体の平衡に基づいて生ずる現象であることを明らかにし,いわゆる〈パスカルの原理〉を確立した。しかし科学研究と並行して,46年パスカルは家族とともに当時の宗教界に深い影響を及ぼしたサン・シランの弟子たちの感化を受けて宗教的自覚を体験し,後にジャンセニスムと呼ばれる傾向に接近する(第1の回心)。…

※「真空」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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