日本大百科全書(ニッポニカ) 「着生コケ類」の意味・わかりやすい解説
着生コケ類
ちゃくせいこけるい
他の植物の体表に生えるコケ植物のことで、樹幹や枝のほか、ときによっては葉の表面などにも生える。コケ植物の生育には空中湿度が重要な環境条件の一つになっているが、空中湿度が高い所では葉の表面に各種の小形の苔(たい)類(これを葉上苔類という)が生えるほか、樹枝や樹幹にも多数のコケ植物が生える。しかし、空中湿度が低下すると、これらの着生コケ類はしだいに量的に少なくなってくる。このようなことから、都市における環境測定を目的として着生コケ類の量が使われることがある。この場合、空中湿度とともに、大気中の有毒ガス類の影響もあわせて認められるため、着生コケ類の量、コケ植物の種類などが少ないほど環境が悪化しているとされる。
[井上 浩]