日本大百科全書(ニッポニカ) 「硬銅撚り線」の意味・わかりやすい解説
硬銅撚り線
こうどうよりせん
硬銅線を各層反対方向に緊密に同心円に撚(よ)り合わせたもの。送電線、配電線および絶縁電線の導体として使用される。一般に、撚り線は同一断面積の単線よりも可撓(かとう)性が大きく、取扱いが容易であり、さらに断面積が同じ撚り線では素線数が多いほど可撓性が大きい。それらの長所を利用して、構造は1本の中心線に対して、その周囲に6本、その上の層に12本、さらにその上の層に18本と、6の倍数で撚り合わせた構造が多い。
一般用硬銅撚り線は、JIS(ジス)(日本産業規格)の「硬銅より線」(JIS C3105)で0.9平方ミリメートル(直径0.4ミリメートルの素線を7本)から1000平方ミリメートル(直径3.2ミリメートルの素線を127本)まで25種が定められている。架空送電用硬銅撚り線は、77キロボルト以下の電線として適しており、一般用に比べて素線径が大きく、JISでは22平方ミリメートル(直径2ミリメートルの素線を7本)から240平方ミリメートル(直径4ミリメートルの素線を19本)まで12種が定められている。
[佐久間照夫・大木義路]