禁反言則(読み)きんはんげんそく

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

禁反言則
きんはんげんそく

イギリス法上の原則であるエストッペルestoppelのこと。これには記録による禁反言、捺印(なついん)証書による禁反言、法廷外の行為による禁反言など種々あるが、商事について確立された表示による禁反言estoppel by representationがもっとも重要である。これは、甲が乙のした表示を信じ、それに基づいて自己の地位を変更したときは、乙はあとになって自己の表示が真実に反していたことを理由に、それを翻すことができないという原則(言を反(ひるが)えすことを禁ずる原則)であり、取引の安全を保護するための重要な機能を果たしている。大陸法の外観理論と近似し、日本の商法や会社法にも禁反言則と基盤を同じくする規定が多くみられる。たとえば、商業登記の公信力(商法9条)、名板貸主の責任(同法14条)、擬似発起人の責任(会社法103条2項)、表見代表取締人の責任(同法354条)などである。

[戸田修三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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