日本大百科全書(ニッポニカ) 「禅と日本文化」の意味・わかりやすい解説
禅と日本文化
ぜんとにほんぶんか
鈴木大拙(だいせつ)が、東洋哲学としての禅思想を早くに欧米に紹介すべく努めたその一果実としての名著。日本文化に禅思想がいかに多くかかわってきたかを述べる。原著は英文であるが、和訳もされて国の内外にわたって広く読まれ、いまも版をともに重ねている。英文の初版は、1938年(昭和13)、著者が主宰した京都のThe Eastern Buddhist Society(東方仏教徒協会)から『Zen Buddhism and Its Influence on Japanese Culture』(禅と日本文化)と題して刊行され、1958年、改訂版がニューヨークのPantheon Books, Inc.と、ロンドンのケガン・パウル書店Routledge and Kegan Paulから同時に『Zen and Japanese Culture』と改訂されて刊行になった。なお初版はOtto Fischerによってドイツ語訳され『Zen und die Kultur Japans』と題して、1941年シュトゥットガルトのDeutsche Verlags-Anstaltから刊行。またそのほかにタイ国学士院によってタイ国語にも翻訳された。和訳本は北川桃雄訳『禅と日本文化』(1940)、『続禅と日本文化』(1942)として刊行された。
[古田紹欽]
『北川桃雄訳『禅と日本文化』(岩波新書)』▽『『鈴木大拙全集 第11巻』(1968・岩波書店)』